新たな“ルパンファミリー”の(左から)山寺宏一さん、浪川大輔さん、栗田貫一さん、小林清志さん、沢城みゆきさん
新たな“ルパンファミリー”の(左から)山寺宏一さん、浪川大輔さん、栗田貫一さん、小林清志さん、沢城みゆきさん

「オーディションに声をかけていただけるだけで光栄だった」と語る五ェ門役の浪川さん。前任の井上真樹夫さんが務めたさまざまな作品も見てオーディションに臨んだが、「手ごたえは全くなかった」という。子役時代から声優を務め、芸歴27年という浪川さんだが、「作品の(歴史の)方が自分よりずっと上。本番を迎えるのが怖かった」と振り返る。不二子役の沢城さんも「オーディションの準備で前の作品をたくさん見たんですが、セクシーな不二子も可愛らしい不二子もすべてのパターンを(前任の)増山(江威子)さんがすでにやっていらっしゃる」といい、「だから『私の不二子を聞いてください』と言えず打ちのめされた」と話す。

 しかし、そんな新キャスト陣を温かく迎えたのが栗田さんだった。16年前に山田さんからルパン役を受け継いだ栗田さんだが、ファンからの風当たりが強かったという。しかし「“レジェンド(伝説)”の(声優の)皆さんに温かく迎えていただいたし、育てていただいた」と語る。いまでも収録の10日前から山田さんが演じたルパン作品を繰り返し鑑賞し、「山田さんの温度になるまでまねる」と、山田さんへの敬意を持ち続けている栗田さんは、新キャスト陣を集めて一席設け、キャストたちの不安をくみ取ったという。「ものまねがきっかけで山田さんからバトンを受け取った私とは違って、新しいキャストの皆さんはいずれも一流の役者さん」と謙そんしながら、「とてもしっかりとした“核”を感じるんです」とエールを送る。

 新キャストに共通しているのは、銭形警部役の納谷悟朗さんら前任のキャストへの高い敬意だ。山寺さんは「『やらなきゃいいのに』と言われるでしょうし、長い時間がかかるかもしれませんが」と前置きしながら「『違うけどいいじゃん』と思っていただければ」と話す。「作品に入り込んで見てもらうのが一番だし、誰が演じているかは関係なく最終的に作品が面白かったと言ってもらえれば声優冥利につきる」としたうえで、「だからこそ半端なものを見せられないという気持ちで作り上げた」と収録の感想を語る。新たな“ルパンファミリー”の船出に注目したい。

 テレビスペシャル「血の刻印~永遠のmermaid~」(日本テレビ系)は、2日午後9時から日本テレビ系「金曜特別ロードショー」で放送。 (毎日新聞デジタル)