ノルウェー乱射容疑者は「精神障害」、治療施設収容の公算

2011年 11月 30日 07:13 JST
 
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 [オスロ 29日 ロイター] 今年7月に77人の犠牲者を出したノルウェーの銃乱射・爆破事件で逮捕されたアンネシュ・ブレイビク容疑者について、裁判所が任命した精神科医らは29日、犯行当時、妄想型統合失調症で責任能力がなかったと結論付ける鑑定書を提出した。

 鑑定結果を受けて記者会見した検察当局は、「結論は精神障害というものだ。彼は妄想の世界で生きており、思考や行動はその妄想で支配されている」と語った。

 同精神鑑定書を裁判所が受け入れれば、ブレイビク容疑者は刑務所ではなく、治療施設に入れられる公算が高い。裁判所は鑑定結果を拒否して再鑑定を指示することもできるが、その可能性は低いとみられる。社会に対する脅威と判断される限りは治療施設内に収容され続けるが、回復したと判断された段階で社会に戻る可能性もあるという。

 銃乱射事件の生存者の1人は、ロイターの取材に「自分にとって一番重要なのはブレイビクを罰することではない。彼がこれ以上、社会を脅かすことがないようにすることだ」と語った。

 事件は今年7月、ノルウェーの首都オスロと郊外のウトヤ島で発生。銃乱射が起きたウトヤ島では当時、与党・労働党の青年部会の集会が開かれていた。目撃情報などによると、警察官姿で現れたブレイビク容疑者が若者たちに向かって銃を乱射。特殊部隊が島に到着して容疑者の身柄を確保するまで、銃乱射は約1時間半に及んだという。

 今月に入って行われた初公判前の尋問では、ブレイビク容疑者は「私はノルウェーのレジスタンス運動における司令官であり、テンプル騎士団でもある」と発言。「私が行った行為については認めるが、罪は認めない」とした上で、多文化主義を支持するノルウェーの司法には従わないと主張していた。

 11月29日、ノルウェーの銃乱射・爆破事件で逮捕されたアンネシュ・ブレイビク容疑者は犯行当時、妄想型統合失調症で責任能力がなかったと結論付ける鑑定書が提出された。写真は鑑定書について会見する検察官ら(2011年 ロイター)