李明博(イ・ミョンバク)大統領は29日に、国際経済諮問会議に出席した際に「0歳から5歳までの乳幼児の保育に関しては、国が責任を持つという姿勢で臨むべきだ」と発言し、企画財政部(省に相当)長官に対し、党と協議を行った上で(保育費と教育費を)予算に反映させるよう指示した。この結果、来年度からは5歳以下の乳幼児に対して全面無償保育が実施されることが確実と見込まれる。現在は、所得下位70%に当たる世帯の0―5歳児に限り、毎月17万7000―39万4000ウォン(約1万2200―2万7100円)の保育費が支給されている。今後、全世帯に保育費を支給する場合、およそ1兆ウォン(約690万円)の追加予算が必要になる。
保育関連の福祉は子どもたちの潜在能力を高め、将来の国のために人材資源の規模と質を高める「プラスの福祉」だ。適切な保育福祉は、子どもの成長を左右する幼児期の精神的、肉体的な枠をバランス良く整えるとともに、家庭環境の違いによって不平等が青年期、中年期、高齢期へと受け継がれることを防止する。さらに精神面と肉体面の双方で健康に成長した子どもは、後に誠実な納税者となって将来の福祉費用の担い手にもなる。保育福祉が拡充されれば、子どもを生んで育てることを負担や苦痛と考える夫婦が減り、少子化を克服することにもプラスに作用するだろう。現在、韓国は世界でも最低の出生率(合計特殊出生率)を記録しており、国の将来を深刻に考えなければならない状況にある。このような問題を克服するには、保育福祉を量と質の両面で画期的に改善する必要があるのだ。
しかし、単に予算を増やすだけで乳幼児向けの保育や教育が自然と改善されるわけではない。欧州諸国は乳幼児の保育に各国ともほぼ同じ割合の予算を配分しているが、その効果は国によって異なる。それだけ乳幼児教育のあり方や方法に対する研究や実験が必要である(だ)ということだ。私立に比べて教育の内容や保育の質に優れた国公立の幼稚園や保育園を増やし、同時に私立のレベルも引き上げられるような支援を行うことが必要だ。政府は来年度中に公共型の保育園を100カ所増やす計画を取りまとめているが、これだけではどう考えても不十分だ。昨年末の時点で全国の幼稚園数は8388カ所だったが、そのうち国公立が占める割合は4501カ所、53.7%だった。保育園に至っては全国3万7755カ所のうち国公立はわずか2025カ所、5.4%と非常に少ないのが実情だ。また保育士の待遇も悪く、毎月の平均給与はわずか126万ウォン(約8万6000円)となっている。こうした劣悪な状況では能力のある保育士を確保するのは到底難しい。雇用形態や待遇を改善するとともに、保育士たちが愛情を持って子どもたちを指導できるための研究も必要だろう。