金栄浣氏の帰国で、これまでミステリーとされてきた「朴智元(パク・チウォン)元文化部長官(現在は民主党議員)の現代裏金150億ウォン(約10億3400万円)収賄疑惑」の実態が解明される可能性も浮上し、この点にも注目が集まっている。
03年に北朝鮮への送金問題を担当した検察の特別チームは、李益治元現代証券会長から「2000年4月に鄭夢憲会長から150億ウォンの譲渡性預金証書(CD)を受け取り、南北首脳会談を進めていた朴智元長官に手渡した」という証言を確保していたが、金栄浣氏が米国に出国したため、事件は大検察庁中央捜査部に引き継がれた。
同年8月には鄭夢憲会長が突然自殺したため、事件はこのまま迷宮入りするかと思われた。だが、検察は海外に逃れていた金栄浣氏から「朴元長官から150億ウォンのCDを預かって管理していた」との陳述書を受け取り、朴元長官を収賄容疑で起訴した。しかし大法院は06年9月に「李益治氏と金栄浣氏の証言は信用できない」という理由から、この事件で朴元長官の無罪を確定した。検察は当時、問題の150億ウォンのうち)20億ウォン(約8億2700万円)を押収したが、事件関係者らがいずれも「自分の金ではない」と主張したため、持ち主を特定できないまま銀行の金庫に保管されている。
検察の関係者は「150億ウォンの問題と関連して金栄浣氏から新たな証言が出たとしても、この事件はすでに大法院で無罪が確定しているため、新たに捜査を始めるのは難しい」とする一方で「無罪は確定したが、真相解明という次元で正確な事実関係を把握しておきたい」との考えを持っているため、事情聴取の過程で新たな証言や証拠が出た場合には、大きな波紋を呼ぶものと予想される。
鄭夢憲元会長は自殺する直前の03年7月、検察で「1999年12月から2000年1月にかけ、金栄浣氏から伝えられたスイスの銀行口座に、現代商船から3000万ドル(約23億3130万円)を送金するよう指示した」と証言したが、検察はこの証言内容についても裏付け捜査を行う方針だ。当時、この資金は「対北朝鮮事業用」との疑惑が持ち上がっていた。