昨年の韓国併合100年を契機に、日韓関係の過去を知り、未来を考えようと結成された市民グループ「コリア・プロジェクト@富山」のメンバー10人が10月末に韓国スタディツアーを行った。メンバーの1人、堀江節子さん(63)=富山市=は「日本が韓国で行った負の歴史をたどり、改めて、両国の隣人関係をどのように再構築するのか、課題を抱えた思い」と振り返っている。【青山郁子】
同グループは昨年から今年にかけて、日韓の歴史についての講演会や写真展、交流展などを開催し、平和や人権、文化などについて学んできた。
今回は3泊4日の日程で現地を訪問。初日は、1919年3月に起こった日本の植民地からの独立運動発祥の地、タプコル公園を訪問。2日目は、日本からの独立運動の分岐点となった天安市にある独立記念館と日本軍の元従軍慰安婦8人が共同で暮らす「ナヌムの家」と隣接の歴史館(広州市)を訪問した。ナヌムの家は、韓国政府や広州市などからの助成金と支援者からの支援で運営され、現在は平均86歳のハルモニ(おばあさん)が静かに余生を送っている。この日は行事で全員が不在だったが、参加者は当時の写真や資料を通じ、日本軍の残酷な行為について再認識した。
3日目はソウル市内の西大門刑務所歴史館と、日本からの独立を訴え当時の伊藤博文首相を射殺した安重根の記念館を訪問。西大門刑務所は、独立運動家や戦後の民主化運動家らが投獄された場所で、せい惨な拷問などが行われ、獄死者も多かったという。
その夜は京畿道市民フォーラムと交流し、お互いの運動を紹介。今後も交流を続け情報を共有していくことになった。帰国した堀江さんは「民間、市民レベルの交流の中で今後、どのような関係を築けばいいのかを考え、それを政府に働きかけることが重要だ」と今回の成果について話している。(写真はすべて同プロジェクト提供)
毎日新聞 2011年12月1日 地方版