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北朝鮮、自然エネルギーに注目 電力不足の打開期待?

2011年12月1日15時25分

 北朝鮮が自然エネルギーの普及に関心を示している。慢性的なエネルギー不足が背景にあるとみられ、国内メディアでは東京電力福島第一原発事故後の世界の動向も盛んに紹介する。風力発電にも乗りだした。

 朝鮮中央通信によると、金正日(キム・ジョンイル)総書記は平壌に新たに建設された「太陽熱設備センター」で太陽熱を使った温水器の試作品を視察。「これで暖房問題は解決され、人民が一年中お湯を使えるようになる」と述べ、「われわれは太陽熱のような再生可能エネルギーを積極的に開発、利用せねばならない」とも強調した。

 朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」は春以降、太陽光や風力など自然エネルギーの拡充を進める欧州や中国の様子を繰り返し伝える。「世界の流れになっている風力エネルギーの利用」「注目を集める再生エネルギー」といった具合だ。

 北朝鮮は「太陽熱や風力などの再生エネルギーの開発利用を本格的に推進する」(朝鮮中央通信)ため、環境保護法を8月に改正した。その後の報道では、翼を強化した「新型風力発電機」を平壌近郊の南浦など朝鮮半島西側の海沿いに設置。高原地帯や朝鮮半島の東側にも増設する方針という。

 一連の動きを、韓国政府機関・エネルギー経済研究院の丁宇鎮(チョン・ウジン)資源開発戦略研究室長は「慢性的エネルギー難の打開策になると考えたのだろう。輸入資源に頼る必要もなく、国家理念の『自力更生』にも合致する」とみる。

 韓国統一省などがまとめた資料によると、北朝鮮の主な施設の発電能力は水力と火力で計約800万キロワットある。それぞれ500万キロワット、300万キロワットを占める。だが、稼働できているのは230万〜300万キロワット程度とみられている。

 火力発電の燃料となる石炭は、電力不足で採掘や輸送がままならず、それがまた発電所の稼働率を落とす悪循環だ。水力も食糧難の原因ともなった1990年代の大洪水時に、貯水施設に土砂などがたまって能力が落ちたままだとされる。発電設備や送電網は老朽化し、維持管理が不十分なことも一因だ。

 自然エネルギーによる発電は大規模化しづらい半面、需要地の近くで電気をつくれる利点がある。丁室長は「遠くへの送電が難しい北朝鮮で、地産地消の自然エネルギーは理想的ともいえる」と指摘。韓国の環境保護団体は欧州の団体と協力し、北朝鮮での太陽光や風力の発電所の設置に動き出した。(ソウル=中野晃)

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