【萬物相】大阪市長に当選した橋下徹氏

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　27日の大阪ダブル選挙（大阪府知事と大阪市長の同時選挙）で大阪市長に当選した橋下徹氏は、2008年に38歳という史上最年少の若さで大阪府知事に当選したが、知事当選直後の橋下氏の発言は、恐れるものなど何もないように感じられた。橋下氏は就任直後、5兆円ともいわれる負債に苦しむ大阪府の職員の前で「あなたたちは破産した会社の従業員のようなものだ」と訴えた。自らが進める大阪府改革について「独裁」との非難が浴びせられると、橋下氏は「食事が終わってから妻に“自分が使った食器は自分で洗ってよ”などと言われる独裁者がいるのか」と言い返したという。

　大阪府知事になる前の橋下氏は、人気タレントであると同時に弁護士だった。頭を染めてサングラスを掛け、時には赤い革のズボンをはいてトークショーに出演し、見ている人を楽しませた。テレビの視聴者も過激でありながら的を射た橋下氏の発言に熱狂した。橋下氏は大学1年生のときから今の妻と同居を始め、妻がアルバイトをしながら支えてくれたおかげで司法試験に合格し、三男四女をもうけた。「7人の子どもたちに住みやすい大阪を残してやりたい」と涙を流して訴える橋下氏の声と、それに共感する府民の支持もあって、大阪府は橋下氏の知事就任から2年で黒字に転換した。

　最近の日本社会では「英雄待望論」がよく聞かれる。財界のある元老は「現在の日本は世界で無視されていると言ってもよいほど、情けない状況に陥っているのが事実だ」と述べた。国民の誰もが感じるこの敗北感、無力感から日本を救ってくれるカリスマ性のある人物の登場が待たれているということだ。今回の大阪ダブル選挙で大阪市長に当選した橋下氏も、知事に当選した松井一郎氏も、既成政党ではなく「大阪維新の会」と呼ばれる地方政党に所属している。有権者の多くが地方政党所属の橋下氏に投票したことも、このような日本の雰囲気を反映しているのかもしれない。

　日本の有権者は、票集めのために甘い公約しか語らない既成政党に対し、かなり前から背を向けているが、今回、信念を持って堂々と有権者を説得する橋下氏に「日本という船を任せるだけの指導力がある」と感じたのかもしれない。橋下新市長は就任直後、大阪市の職員に対し「民意を無視するのであれば大阪市役所から去れ」と求めた。そして自ら率先して給与の30%と退職金の50%を削減すると宣言した。

　橋下氏に対して日本社会の一部からは「常に敵を作って白黒はっきりさせようとするのが彼の政治手法だ」という声も聞かれる。橋下氏は「日本は核武装すべきだ」という極端な発言をすることもある。いずれにしても、国民の支持を受けて古い政治との戦いを始めたばかりの橋下氏が、今後どのような果実をもたらすかは韓国にとっても大きな関心事だ。