SSS英語学習法研究会と"Cult Branding"
本日は、Magic Tree Houseシリーズ第16巻"Hour of the Olympics"の独語版"Abenteuer in Olympia"を読了。理由は分かりませんが、英語原書の16巻が独語版の19巻となっています。
PhilippとAnneの兄妹は、"M"の依頼を受け、古代ギリシアへ。野外劇場やスポーツ場など、西洋文化の起源に触れて感激する一方で、圧倒的な男尊女卑の世界に衝撃を受ける兄妹。
ただ、「美少年にもてるための哲学の勧め」を書いた某哲学者が"M"の友人で、古代ギリシアにおける女性の地位に同情的という設定はかなり無理があるような気も(笑)
本日は、日本で「多読」普及に邁進しているSSS英語学習法研究会と"Cult Branding"について。
実は、私の大学時代の主専攻は宗教学で、卒業論文のテーマは「千年王国運動」でした。そういう訳で、新興宗教にはそれなりに知識も興味もあります。そんな私に日本語のビジネス書多読に励んでいる弟が勧めてくれたのが「カルトになれ! 顧客を信者にする7つのルール」というビジネス書でした。
弟曰く、"Branding"=ブランド戦略というのは、アメリカでは常識らしいのですが、日本では余り知られていません。ましてや、"Cult Branding"となると、何をか況やでしょう。
とは言え、弟の本の選択眼に関しては全幅の信頼を置いているので、早速読み始めました。そして、これが非常に面白いんですね。宗教学と言う学問自体、隣接学問である社会学・心理学・人類学・歴史学の寄せ集めっぽいのですが、そういう様々な学問の知見を自分の対象に上手く応用するという論の展開が非常に面白く感じました。
さて、肝心の内容ですが、
1 人は他人と違っていたい
2 「大胆さ」と「強い意志」を持て
3 「ライフスタイル」を売れ
4 「伝導師」を生み出せ
5 クラブを生み出せ
6 顧客を選ぶな
7 ノスタルジアを売れ ライバルからパワーを引き出せ
という7つのルールを挙げて、「カルト」=新興宗教が無自覚的に行っているブランド戦略を如何に企業のブランド戦略に応用するかと言う野心的なものになっています。
基本的には、その集団の「集団らしさ」を積極的に演出することで、「顧客の所属集団に対する忠誠心」を如何に強化するかということで、宗教学的な見地から見ても、非常に納得のできる議論も多く、最後まで楽しめました。
そして、最後まで読み終わって、はたと気づいたのが、そういえば、「SSS英語学習法研究会」って、この本の言う「良心的なカルト」と同じだ、ということです(笑)
「1 人は他人と違っていたい」ですが、これは、「多読」という「通常とは異なる学習方法」によって、「英語が自由に読めるようになる」ということで達成されています。
「2 『大胆さ』と『強い意志』を持て」ですが、これは、日本の英語界から黙殺され続けたにも関わらず粘り強く研究と実践を続けてきた酒井先生の生き方そのものと言って過言ではありません(笑)
「3 『ライフスタイル』を売れ」ですが、これは、「英語で本を読むのが趣味になった人」=「タドキスト」を大量発生させている現在、もうそのまんまです。
「4 『伝導師』を生み出せ」ですが、こうして私のように「多読」を宣伝するブログやホームページを立ち上げる人や、家族・友人・職場の知人などに勧めまくる人など、枚挙に暇がありません。
「5 クラブを生み出せ」ですが、これはSSS英語学習法研究会のホームページの掲示板や各地で開催されるOFF会で十分に達成されているでしょう。
「6 顧客を選ぶな」ですが、「多読」が「自分の好きな本を好きなように読んでいく」という方法論を標榜している以上、学習者の属性を全く選ばないので、そのまま当てはまります。
「7 ノスタルジアを売れ ライバルからパワーを引き出せ」ですが、多読をしていて昔日本語で読んだ本に英語で再会して感動する人や、学校の英語教育法の誤りに対して敵意を燃やす人が居ることから、これも問題なくクリアーします。
と、言う訳で、SSS英語学習法研究会は"Cult Branding"が提唱する「ブランド戦略」の全てを何時の間にか達成してしまっている「顧客の所属集団に対する忠誠心」の非常に高い集団だと言えます。
なお、この本の著者が述べているように、誰かが悪用しない限り、「顧客の所属集団に対する忠誠心」は集団や顧客双方に利益をもたらすものなので、SSS英語学習法研究会にはこのまま頑張って頂きたいと思います(笑)
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