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給食米横流しか 未検査を代替出荷 ケンベイミヤギ

 米穀卸の宮城県内大手、協同組合ケンベイミヤギ(仙台市太白区、岡部英之理事長)が不正な表示で精米商品を販売していた問題で、ケンベイが宮城県内の学校給食向けとして納入された指定米を一般消費者用に横流しし、給食には未検査米などを出荷していた疑いがあることが29日、関係者の話で分かった。
 東北農政局、宮城県、仙台市も情報を把握。日本農林規格(JAS)法違反などの疑いがあるとしてケンベイへの立ち入り調査を実施し、慎重に裏付けを進めている。ケンベイに精米を委託していた県学校給食会(仙台市宮城野区)は11月下旬、契約を解除した。
 関係者によると、ケンベイは2010年秋から11年秋までの間、給食会との委託契約に基づき、精米のため全農宮城県本部から学校給食用の指定米として納入された宮城県産ひとめぼれ1等米の玄米を、一般消費者向け精米商品の原料として使用した。給食用には未検査米などを出荷していたという。
 農政局などの調査に対し、ケンベイの関係者は横流しの事実を認めたが、岡部理事長は河北新報社の取材に対し、「横流しはしていない」と否定している。
 県学校給食会は、ケンベイとの精米委託契約を解除した理由について「ケンベイから『業務の都合上、契約を辞退したい』との申し出があった」と説明している。
 ケンベイは、一般消費者向けの精米商品を不正な産地・銘柄表示で販売したり、仕入れや出荷などの帳簿や台帳を作成・保管していなかったりしたことが判明。農政局などはJAS法違反や米トレーサビリティー法違反の可能性があるとして、行政指導・処分を検討している。

◎給食の安心揺るがす 抜き取り調査に限界

 米の産地・銘柄の不正表示が発覚した仙台市太白区の米穀卸「協同組合ケンベイミヤギ」(岡部英之理事長)に、学校給食用米の不正使用の疑いが新たに浮上した。子どもたちが日常的に口にし、最も厳しい管理が要求される食材が疑惑の対象となり、問題は一層深刻さを増してきた。

 宮城県での学校給食用米の流通経路は図の通り。給食用米は宮城県産ひとめぼれの1等米が指定され、県学校給食会との精米委託契約に基づき、全農県本部から仕入れた玄米をケンベイなど複数の業者が精米。学校・給食センターや炊飯業者に出荷する。
 給食用米を一般消費者用に横流しするなどの不正使用が疑われているのは、2010年秋〜11年秋の入出荷分。例年、給食用に供給される米は11月に前年産と当年産が切り替わる。10年の場合、11月までは09年産が使用されるはずだったが、ある関係者は「当初仕入れた指定米を早い段階で横流しし、給食用に回せなくなったので異なる米を使った」と指摘する。
 精米原料は、給食会から委託を受けた日本穀物検定協会が毎月、工場で抜き取り調査を実施しているが、全農を通じて仕入れた原料で信頼性が高いとして、産地確認まではしていない。給食会の担当者は「米は全量検査が難しい。モラルとして、安全・安心な米を供給することに協力してもらうしかない」と話す。
 給食会によると、県内に5社あった精米委託業者のうち、石巻、気仙沼両市の計2社が東日本大震災で被災。両社の業務を受託したケンベイは、6月時点で両市や仙台、栗原など計13市町村に給食用米を供給し、残る3社の中で取扱量は最大となっていた。
 東北農政局や宮城県はケンベイへの立ち入り調査を10月に着手。調査が続く11月下旬、給食会はケンベイとの精米委託契約を解除した。複数の関係者によると、給食会がケンベイに契約辞退を要請し、ケンベイが契約解除を申し出たという。
 調査結果が明らかになっていない段階で契約解除したことについて、県学校給食会の千葉信夫常務理事は「お話しできる段階ではない。その理由や事情もコメントできない」と話している。


2011年11月30日水曜日


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