練習で軽快な動きを見せる中村=愛知県豊田市のトヨタスポーツセンターで(伊東朋子撮影)
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名古屋グランパスは29日、愛知県豊田市のトヨタスポーツセンターで連覇のかかったリーグ最終第34節の新潟戦(12月3日・東北電ス)に向けて調整した。26日の山形戦後、2日間のオフを終えて練習を再開した主力組の一人、MF中村直志(32)は左膝痛を抱えながらもJ1最終戦までこぎ着けた。グランパス一筋11年目のベテランは攻守の全力プレーで、最終節まで優勝を争いながらあと一歩届かなかった2008年の悔しさを晴らす。
こぼれ球にもすかさずシュートを放った。連休明けの攻撃練習。左膝痛を抱えているが、中村の反応は鋭かった。山形戦フル出場の影響も「痛みはあるけど今のところ大丈夫」と、ほとんどなさそうだ。
8月28日の甲府戦で左膝側副靱帯(じんたい)を損傷した。9月23日の神戸戦で復帰した後も、長引く痛みに苦しめられている。患部の状態によって練習の強度は落とすこともできるが、試合はそうはいかない。試合をこなすたびに痛みが出る繰り返しだった。それでも「だましだましやります」と言いながらプレーを続けて、ようやく最終節が見えてきた。
アウェーの新潟戦には悔しい思い出がある。昨年10月17日、1−4で敗れた上に自身は警告2回で退場処分を受けた。「去年は去年。今年はホームでいい試合をして勝っている」。気持ちはすでに切り替えているものの「その悔しさもぶつけたい」と静かに闘志を燃やしている。
首位の柏と勝ち点1差で最終戦を迎える。「集中しないといけないけど考えすぎても良くない。いつも通りやることが一番」と肝に銘じている。08年にも首位の鹿島に勝ち点2差の2位で、最終戦を敵地で大分と戦った。このときはスコアレスドローに終わり、最終的には3位でシーズンを終えた。
「大分では本当に悔しかった。今回は勝って終わりたい」。もちろん柏の結果次第では、名古屋は勝っても優勝できない。それでも昨年のJ1初優勝で、チームの経験値は上がっている。「今回の方がより余裕を持ってできると思う」。今季はけがと向き合い続けた中村は最後に笑うため、ゴールまで突き進む。 (伊東朋子)
【08年の優勝争い】 ストイコビッチ監督就任1年目、一時は首位に立つものの終盤に4分け2敗と失速。代わって首位に立った鹿島も勝ち点を取りこぼし、勝ち点2差の2位で最終戦を迎えた。グランパスが敵地での大分戦に勝って鹿島が札幌に負ければ優勝。鹿島が引き分けて勝ち点が並んだ場合は、得失点差で鹿島に12点差をつけられる厳しい状況だった。グランパスは猛攻を仕掛けたが堅守を崩せず0−0の引き分け。鹿島が札幌に勝って連覇を達成し、グランパスは川崎に抜かれ3位でシーズンを終えた。
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