【テヘラン鵜塚健】イランの首都テヘラン中心部にある在イラン英国大使館前で29日午後2時(日本時間同7時半)ごろ、イスラム指導体制を支える民兵組織「バシジ」に所属する大学生ら300人以上が集まり、イランに経済制裁を強める英国政府に激しく抗議。警官隊の警備を無視した群衆の一部が大使館内に乱入し、英国国旗を焼いたり、車両に放火、公文書を盗んで破り捨てた。侵入時、大使を含む約20人の外交官らは敷地外に避難していたが、同時に襲撃された市内の別の場所の英国施設で英国人6人が人質として一時拘束された。
イランではイスラム革命後の79年11月、大学生による米国大使館占拠人質事件があり、米との国交断絶につながった。英国とも関係断絶に発展する恐れがある。英外務省は事件後、「激しい怒りを感じ、到底許せない」との声明を出した。
革命防衛隊系のファルス通信などによると、数百人の男女の学生が大使館前で「英国に死を」と抗議。一部の学生が壁を乗り越え侵入し、英国国旗をひきずりおろしてイラン国旗を掲げ、館内のガラスなどを次々と破壊。一部が夜も館内に立てこもっている。
核開発問題を巡り、英国政府が21日、イランの全金融機関との取引を停止する制裁措置を発表。イラン国会は27日、2週間以内に英国大使を追放することを盛り込んだ法案を可決し、28日に護憲評議会が追認した。
毎日新聞 2011年11月29日 23時45分(最終更新 11月30日 7時23分)
ウェブサイトが15分で簡単作成、しかも無料で
「はやぶさプロジェクト」のサポートチームに参画