イラン 英との関係さらに悪化懸念
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イラン 英との関係さらに悪化懸念

11月30日 5時9分 twitterでつぶやく(クリックするとNHKサイトを離れます)

イランの核開発問題を巡って、イギリスが新たな経済制裁を発表したことに反発して、イランの首都テヘランで、大勢の若者がイギリス大使館を襲撃して施設を破壊するなど、激しい抗議行動を行い、両国関係のさらなる悪化は避けられないものとみられます。

イランの核開発問題を巡って、イギリス政府は21日、自国の金融機関がイランのあらゆる銀行と取り引きを行うことを制限する新たな経済制裁を発表しました。これに反発して、イランの首都テヘランでは、29日、1000人余りの若者がイギリス大使館を取り囲んで、抗議行動を行いました。このうちおよそ50人の若者が、「イギリスに死を」などと叫びながら大使館の塀を乗り越えて侵入し、建物の窓ガラスを割って書類をばらまいたり、イギリスの国旗を燃やしたりして暴徒化しました。またイランの国営メディアは、テヘラン北部にあるイギリス大使館の別の施設にも若者が侵入し、大使館の職員ら6人を一時、拘束したものの、その後、解放されたと伝えています。若者たちはおよそ4時間後に治安部隊によって大使館の敷地から追い出され、イラン外務省は「イランは国際法を守っており、今回の事態を遺憾に思っている」とする声明を出しました。しかしイランでは27日、国会でイギリス大使の追放を求める法案が可決されるなど、欧米との対決姿勢が強まっており、今回の事件を受けて、両国関係のさらなる悪化は避けられないものとみられます。

イランの首都テヘランで、イギリスによる新たな経済制裁に反発する大勢の若者がイギリス大使館を襲撃したことに対し、イギリスのヘイグ外相はイラン政府の対応を強く非難したうえで新たな対抗措置を検討する考えを明らかにしました。イギリスのヘイグ外相は、29日、記者会見し、「今回の事態を極めて重大に受け止めている」と述べたうえで、イラン政府は国際法に基づいて外交官や大使館を守る責務を怠っているとして、イランのサレヒ外相に電話で強く抗議したことを明らかにしました。そのうえでヘイグ外相はイラン政府に対し、「さらなる重大な結果が訪れることになるだろう」と警告し、新たな対抗措置を検討する考えを明らかにしました。

イランの首都テヘランでイランの若者たちがイギリス大使館を襲撃したことについて、国連の安全保障理事会は、29日、非公式協議を開き、「もっとも強い言葉で非難する」という内容の報道機関向けの声明を採択しました。安保理が非公式協議を開いたあと、議長国ポルトガルのカブラル国連大使は報道機関向けの声明を読み上げました。この声明を通じて、安保理は「テヘランのイギリス大使館に深刻な被害を及ぼした襲撃をもっとも強い言葉で非難する」としたうえで、イラン政府に対して、「外国公館を保護することを取り決めたウィーン条約に基づき、国際的責任を十分に果たすべきだ」と要求しました。