アメリカの航空大手アメリカン航空は、経営の重荷となっている巨額の債務や運営コストを抜本的に改善して経営を立て直すため、29日日本の民事再生法にあたる連邦破産法11条の適用を申請したと発表しました。
これは、アメリカン航空の親会社AMRが発表したものです。それによりますと、AMRとアメリカン航空は、29日、ニューヨークの破産裁判所に、日本の民事再生法にあたる連邦破産法11条の適用を申請しました。負債総額は296億ドル(日本円で2兆3000億円)に上ります。アメリカン航空は連邦破産法の手続きが進められる間も通常通りの運航を続けるとしています。テキサス州のフォートワースに本社があるアメリカン航空は巨額の負債を抱え、人件費などの運営コストが膨らむ中で財務内容を改善するため労使間の協議を続けてきましたが、最終的に合意に至らなかったことから連邦破産法のもとで再建を目指すことにしたものです。アメリカの航空会社は、2001年の同時多発テロ以降、旅客数の減少や燃料費の高騰で経営が悪化し、大手のほとんどが破産法のもとで再建を進める事態になり、その後、合併など業界の再編も進んでいます。アメリカン航空は大手では唯一、破産法の適用を申請していませんでしたが、格安航空会社などとの間で競争が激しくなるなかで思い切った対応が必要だとして破産法のもとでの再建を選択することになりました。
アメリカン航空は日本航空と提携しており、日本とアメリカ、日本とアジアなどの路線で旅客機を共同運航しているほか乗り継ぎしやすいダイヤの編成を行ったりチケットの販売を相互に行ったりしています。
アメリカン航空が連邦破産法11条の適用を申請したことについて、日本航空は「アメリカン航空との間で21路線、1日当たり片道57便を共同で運航しているがアメリカン航空は運航を継続するとしており、共同運航への影響は出ない」と話しています。
アメリカン航空が連邦破産法11条の適用を申請した背景について、航空業界に詳しい早稲田大学の戸崎肇教授は「これまで唯一ほかの航空会社と大規模な合併をせずにきたほか、過去に連邦破産法も申請しておらず、抜本的な人件費の改革を行っていなかったため、高コスト体質から抜け出すことができなかったことが原因だ」と話しています。そのうえで、今後の日本の利用者への影響について戸崎教授は「今後、一時的にアメリカン航空が便を絞ったとしても、提携している日本航空を中心に支えていくと思われ、日本人の旅行客にとって不利益をもたらすことは考えにくい」と話しています。