茨城県神栖市の住民が有機ヒ素化合物に汚染された井戸水を飲んで健康被害を受けたとして、公害等調整委員会に国や茨城県に賠償を命じるよう求めている問題で、5年にわたった審理が終わり、来年5月にも国や茨城県に責任があるか裁定が下されることになりました。
この問題は、茨城県神栖市の住民39人が旧日本軍の毒ガス兵器の原料に使われたとみられる有機ヒ素化合物に汚染された井戸水を飲むなどして健康被害を受けたとして、公害等調整委員会に国と茨城県に1人当たり300万円の損害賠償を命じるよう求めているものです。29日は住民側が申請した医師が「健康被害を訴える子どもは井戸水を飲む前に比べて発達障害などの傾向が明らかに強くなっている」と述べて有機ヒ素化合物と健康被害との関連性を指摘し、5年にわたった審理が終わりました。有機ヒ素化合物については環境省の調査で毒ガスの原料を何者かがコンクリートに混ぜて捨てた疑いが強いとみられています。住民側は危険な毒ガスの原料の管理責任は国にあるとしていますが、国は「第三者が投棄したもので法的責任はない」と反論しています。公害等調整委員会は来年5月にも国や茨城県に責任があるかどうか裁定を下すことにしています。