[i]コスタリカ憲法(スペイン語)よりの拙訳。第3項については、他の翻訳には誤訳が見られるが、正しくは、「声明あるいは宣言を討議したり、発表したりしてはならない」という意味である。
[ii]
1949年憲法の制定過程については、竹村卓『非武装平和憲法と国際政治−コスタリカの場合』(三省堂、2001年)75−84ページ参照。
[iii]
IISS, The Military Balance 2000-2001,
Oxford
Univ.
Press,
London
, 2,000
[iv]
コスタリカの警察法には、明らかに日本の警察法とは違った規定が見られる。それは、コスタリカの警察が、軍隊的な側面を持っていることから来るものと思われる。市民警備隊(Guardia
Civel)の警備隊Guardia(グワルディア)という用語は、軍隊(Ejercito)と警察(Policia)の中間の強度をもつ「治安機関」である。警備隊(Guardia)は、中南米では歴史的にはかなりの重装備をもったり、軍隊そのものである場合もある。そうした語感をもつものとして市民警備隊がコスタリカ国民に捉えられていることを知る必要がある。すなわち、装備からしても性格からしても日本の警察力とは違ったパーセプションといってよいであろうか。
[vi]
中南米一般において、国民は、「北の巨人」に対して歴史的な関係から「ヤンキー」とか「グリンゴ」とか呼んで嫌悪感をもっており、その感情を吐露する場合が少なくない。しかし、政治の現実は複雑で、そうした感情をもちながらも現実の力関係あるいは利害関係でアメリカ政府との関係のあり方が決められている。コスタリカの場合もそうで、対米従属性と同時に時に対米批判がでてくる複雑な側面をもっており、対米関係を一面的に捉えてはならない。
[vii]
筆者は、最近キューバ人研究者、またプエルトリコ独立運動の活動家とコスタリカについて話す機会があったが、前者は、「コスタリカは、軍隊を持たないのではなく、アメリカがいざというときに守ってくれるので、持つ必要がない」と述べたし、後者は「コスタリカが軍隊を持たないといったからといって、現実のコスタリカの行動から見れば、中立でもなく、積極的な平和外交とはいえない」と厳しい批判を行っていた。こうした見解は、中南米左翼一般の見解と思われる。
[ix]
Granma, Octubre 18, 2002.
[x]
Nacionales, Julio 6,
2002.
[xi]
アメリカのモンロー主義の史的展開については、岡部廣治「米国の『勢力圏』思想と革命ニカラグア−『モンロー主義の史的展開』−」『経済』1986年1月号参照。
[xii]
グアテマラについては、岡部廣治「グァテマラの問題」(『歴史学研究』、第174号、1954年8月号)、Guillermo
Toriello Garrido, Guatemala, Más de 20 Años
de Traición, Ediciones Ciencias Sociales, La
Habana, 1981を参照。なお岡部氏は、Richard
H. Immerman, The CIA
in Guatemala: The Foreign Policy of Intervention,
University of Texas Press, 1982を推奨しているが、筆者未見。
[xiii]
アメリカに支援された反革命軍のキューバ侵攻事件(プラヤヒロン侵攻)については、近年新たな公開資料にもとづいて研究がなされている。最新の研究は、Juan
Carlos Rodríguez, The Bay of Pigs and the CIA,
transulted by Mary Todd, Ocean Press, Melbourne, 1999,
James G. Blight and Peter Kornbluh, Politics ofIllusion:
the Bay of Pigs Invasion Reexamined, Lynne Rienner
Publishers, Boulder, 1998などを参照。
[xiv]
エドゥアルド・ガレアーノ『収奪された大地』大久保光夫訳(新評論、1986年)270−271ページ
[xv]
トマス・J・マコーミック『パクス・アメリカーナの五十年』松田武・高橋章・杉田米行訳(東京創元社、1992年)243−244ページ。
[xvi]
チリのピノチェットのクーデターの背景については、多くの書籍・論文が内外で刊行されているが、さしあたっては、岡倉古志郎・寺本光朗編『チリにおける革命と反革命』(大月書店、1975年)、Helios
Prieto, Chile: Los Gorilas estaban entre nosotros,
Editorial Tiempo Contemporaneo, Bueos Aires, 1973を参照。
[xvii]
アメリカのグレナダ侵略については、岡知和『踏みにじられた“香料の島”−アメリカのグレナダ侵略―『文化評論』No.274,1984年1月号を参照。
[xviii]
パナマのノリエガ国軍司令官の麻薬疑惑を利用したアメリカのパナマ侵攻については、拙稿『国際法を蹂躙したアメリカのパナマ侵略』世界政治90年2月下旬号、新原昭治『アメリカの戦略は世界をどう描くか』(新日本出版社、1997年)、小林志郎『パナマ運河』(近代文芸社、2000年)を参照。
[xix]
1980年代の中米情勢については、日本共産党出版局『中米―前進する民族自決の戦い』(1985年)、同時期の日本共産党中央委員会発行の『世界政治』に詳細な資料と論文が掲載されている。アメリカのレーガン政権によるサンディニスタ政権打倒政策については、さし当ってはノーム・チョムスキーの次の本が参考になる。Noam
Chomsky, The Culture of Terrorism, South End Press,
South End Press,
Boston
, 1988. Noam
Chomsky, Deterring Democracy, Hill and
Wang
,
New York
, 1992. Noam
Chomsky, Necessary Illusions: Thought Control in
Democratic Societies, South End Press,
Boston
, 1989
[xx]
アメリカに支援されたベネズエラの政界・財界・軍部・労働組合・マスコミ・カトリック教会が一体となってのチャベス打倒クーデター未遂事件については、拙稿「4月11日ベネズエラ・クーデター未遂事件」『アジア・アフリカ研究』、通巻363号、2002年第1号を参照。
[xxi]
ノーム・チョムスキー『アメリカが本当に望んでいること』益岡賢訳(現代企画室、1994年)29ページ。
[xxii]
キューバのフェリーペ・ペレス・ロケ外相は、本年4月コスタリカが、ジュネーブの国連人権委員会でアメリカが後押ししたキューバの人権非難決議に賛成に回ったのを受けて、記者会見で「もはやコスタリカに欠けていることがあるとすれば、それは、アメリカに併合を要請することだけであろう」と述べた(Granma,
April 12, 2002)。この発言は、若干冷静さを欠いた発言にも思えるが、コスタリカの対米従属性の一面を指摘したものである。
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