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新作絵本に取り組む 上郡町在住 画家・秋野亥左牟さん | ||||
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2007/08/10
ネパールの民話を基にした絵本「プンクマインチャ」などで知られる画家・秋野亥左牟(いさむ)さん(72)=上郡町在住=が、新作絵本「太陽まで昇ったコンドル」(仮題)の原画の制作に取り組んでいる。ペルー取材での見聞などを基に、南米の風土や文化を独特のタッチで丹念に描くが、「まあ、完成は三年くらい先かな」といたってマイペース。ひょうひょうと自然体で絵に向かう。(堀井正純)
南米の民話題材
秋野さんは、京都生まれ。日本画の巨匠・秋野不矩(ふく)さん(一九〇八―二〇〇一年)の二男で、自身は東京芸大彫刻科に学んだが、学生運動に熱中し中退。日本への失望から六二年、インドへ。六五年にネパールへ移住した。 いわゆるヒッピーの一人で、欧州やメキシコなどを放浪後、カナダに定住。七七年から沖縄・八重山諸島の小浜島で、絵を描きながら、ウミンチュ(漁師)として十六年暮らした。これまで、絵本「はまうり」「ムースのおおだいこ」などを出版している。 インドやネパールでの生活や、北米先住民らとの交流を通じ、大自然の精霊などを信じるアニミズム、シャーマニズムの世界に触れた。自らの絵画にもそうした世界観を反映している。
上郡町には、二〇〇五年冬、広島県福山市から引っ越しした。田舎暮らしができる古民家を探していて、ちょうどよい物件を上郡で見つけた。蔵をアトリエにし、朝は畑で農作業、昼間は絵画制作を続けている。 「太陽まで昇ったコンドル」は南米の民話で、牧童の少女と、人に姿を変えたコンドルとの恋の物語。取材のため、三年前、チチカカ湖やマチュピチュなどペルー各地を訪ねた。「エネルギーがあってペルーの人々はすごくいい」と振り返る。 ただし、制作は焦らない。「絵を一枚描くのに三カ月はかかるタイプ。十七枚書かないといけないが、できたのはいま四枚。完成はまだまだ」と穏やかに笑う。 ◇ 秋野さんの絵本「プンクマインチャ」の原画が神戸・元町のアートホール神戸(兵庫県学校厚生会館内)で開催中の「『こどものとも』絵本原画展」で十九日まで展示。同展は二十二日―九月二日、加古川市のヤマトヤシキ加古川店でも開かれる。 | ||||
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