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旅ぶら

音戸の瀬戸(広島県呉市)

2011年11月29日

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平清盛が立ったとされる日招岩から見下ろした音戸の瀬戸=広島県呉市警固屋

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 平清盛が地続きの場所を切り開いたとされる広島県呉市の海峡「音戸(おん・ど)の瀬戸」。来年のNHK大河ドラマ「平清盛」の放送開始を前に、注目が集まる。美しい橋や自然、海産物や酒でも知られる周辺を、一足早く巡ってみた。

■橋と海峡 織りなす美

 1165年、清盛は警固屋地区と音戸地区の間を開削し、海峡を完成させた。船の行き来は飛躍的に短縮された。海峡をはさみ、警固屋側が本州、音戸側が倉橋島だ。

 海上自衛隊の潜水艦や護衛艦、米軍基地を見ながら、本州側から国道487号を走る。山に入り、高烏(たか・がらす)台にある清盛の日招(ひ・まねき)像を訪れた。

 開削工事を早く終わらせるため、清盛が扇を持ち、沈む太陽に向かって持ち上げるように仰いだところ、太陽が再び上昇したという。その伝説から像が建てられた。

 細い道を5分ほど歩くと、実際に清盛が立ったとされる日招岩がある。橋と海峡が見渡せる絶景。以前は雑木林で見晴らしは良くなかったが、来るべき「清盛フィーバー」に備えて呉市が伐採した。

 日本一短い定期航路とされる音戸渡船に乗ると、頭上の二つの橋の迫力に圧倒される。1961年開通の音戸大橋と、2013年完成予定の第2音戸大橋。大型船が行き交う余波で体を揺らしながら約2分で音戸側に到着した。

 「おんど観光文化会館うずしお」には来年1月14日、撮影に使われた衣装や約15メートルの船などを展示する「ドラマ館」がオープン予定。呉市観光振興課の浜田亜希子さん(37)は「大河ドラマが決定してから問い合わせが激増しています」と話す。

 音戸旧道なつかし通りでは風情のある木造民家や、元銭湯「桜湯」のレトロな門構えが目を引く。音戸はちりめんやカキなどの海産物のほか、地元の榎酒造(1897年創業)の銘酒「華鳩(はと)」「清盛」なども知られる。榎真理子取締役は「ここは風景だけでなく、食べ物、水、お酒もおいしい所です」。(後藤洋平)

◎味わう

 音戸町鰯浜にある「音戸パン」は地域で唯一、毎日自社でパンを焼く店。近隣の小中学校の給食用のパンも担う。メロンパンや甘い揚げパンなど懐かしい商品から、白身フライのバーガーなどの総菜パンまで約20種類を扱う。現在は平日のみの営業だが、店を切り盛りする蒲原彰子さん(60)は「大河ドラマで人がたくさんきたら、土日も開けようかしら」。電話0823・52・2347

◎楽しむ

 海峡に面した「清盛塚」。干潮時は歩いて渡れる。この付近は音戸町側から二つの大橋が写真に収められるスポットだ。清盛は音戸の瀬戸を開削するとき、当時の難工事では当たり前だった人柱をせず、その代わりにお経を書いた石を沈めたと言い伝えられている。無事に工事を成功させたことや人命を重んじた配慮をたたえて1184年、清盛を供養するために建てられたという。

◎名物

 音戸大橋には歩道がない。音戸町に住む人々が車以外で本州に渡る手段が、音戸渡船の「かもめ」と「つばめ」だ。料金は大人70円、子供40円。自転車(90円)とバイク(110円)も乗れて、定員は50人。舵(かじ)を握って15年になる花本智博さん(52)は「きちんと何事もなく無事に送り届けることが一番大事だと思っています」。朝の通勤通学時には客が多いといい、警固屋側を降りるとすぐバス停がある。

◎出会う

 おんど観光文化会館で販売されている特産品の統括責任者を務めるのは、呉広域商工会の白石裕(ゆたか)さん(64)。2004年3月のオープン当時からのスタッフで、大河ドラマの開始を待ちわびる。一番人気は木曜と土曜に販売される太刀魚のすり身を使った「音戸天ぷら」(5枚600円)。100セットが「毎回オープンの午前9時半から約30分で売り切れます」。電話0823・50・0321

 ■アクセス 警固屋の日招像、音戸町のいずれもJR呉駅から車で約15分。広島呉道路の呉インターチェンジからは約20分。駅前からはバスが出ているほか、土日祝日には呉港から音戸港まで1日6便の「清盛号」が発着する。所要時間は20〜25分。

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