2011-11-27
橋下徹・新大阪市長を必ず襲う「勲章」
平松邦夫・前大阪市長は徹底的なネガティブキャンペーンで選挙戦を戦いました。橋下徹氏の長所である猛烈な推進力は、見る人によっては生理的嫌悪を抱く場合もあるでしょう。しかし、私は率直に残念でした。過去に内田樹氏との対談動画を見た印象から、平松氏は愚鈍な人間ではないと実感していたからです。「自治体の形を変えただけで、皆さんの暮らしがよくなり、日本の経済がよくなるなんていう魔法はない」「大阪都構想には中身が無い」「独裁を許すな」という主張は、まさか本当にそう思っているわけではなく、保守層の確実な取り込みを狙った純粋な選挙戦略でしょう。つまり、平松氏は、政策の中身で論争することを避けました。その証拠に、では大阪都構想を用いずにどうしたら大阪市を再建できるのか、平松氏から説得力のある言葉が出てくることはありませんでした。
恐らく平松氏にとっては、ネガティブキャンペーンで保守層の危機感を煽るしか勝機を見出せなかったのでしょう。橋下徹の主張の正当性は明らかだからです。疑問に思う方は、最低限、堺屋太一氏との共著『体制維新』を読んでください。この本に大阪都構想の全てが書かれています。
- 作者: 橋下 徹・堺屋 太一
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
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改革と聞いて眉をひそめる人も多いでしょう。何しろ我々は、民主党による政権交代という生々しい傷を抱えたままでいるからです。良さそうなことばかりぶち上げて、いざ委ねてみれば惨憺たる有様。我々の国では改革など幻なのではないか……と。しかしながら橋下徹の言う大阪都構想は、民主党の政権交代とは根本的に異なります。『体制維新』には堺屋太一氏の明晰な説明がありますが、大阪都構想は、人事を変える(総理大臣の交代)のでも、政策を変える(民主党のマニフェスト)のでもなく、体制を変える改革だからです。堺屋太一氏は、明治維新と戦後、近年では国鉄やNTTの例を引いて、大阪都構想=体制維新が机上の空論でない事実を解説しています。
大阪都構想=体制維新とは、大まかに言えば「行政機構の刷新」です。『体制維新』や、後述する『政治家の殺し方』にはっきり書かれていますが、全国の自治体は「そりゃこんなやり方をしていたら衰退するに決まっている」と、社会人なら誰もが唖然とするような仕組みで成り立っています(この仕組みを前提に話すから、平松氏の発言には説得力がありません)。大量生産・大量消費の昭和を支えた化石システムを廃止して、平成の新時代にふさわしい体制を構築しようという、極めて真っ当な主張なのです。
晴れて、橋下徹大阪市長が誕生しました。しかし全ての問題がクリアになったわけではなく、むしろ本当の戦いの火蓋が切って落とされます。再び議会との激闘が始まります。そして橋下市長を、今まで通りバッシングと根も葉もないスキャンダルが襲うでしょう。これは100%断言できます。既得権益が保身のために打つ手は決まっているのです。
ピンとこない方には、つい半月ほど前にベストセラーとなった前横浜市長・中田宏氏の著書『政治家の殺し方』が参考になるはずです。本書で明らかにされている内容を平たく言い直せば「しっかりと仕事をする首長は袋叩きに遭う」となります(逆に言えば、議会からバッシングがなく、マスコミがスキャンダルの一つも報道しない首長は、例外なく見て見ぬ振りをして有権者に背いています)。中田宏氏が取り組んだ聖域なき財政再建のように、首長がまともに仕事をしようとすれば、必ず既得権益から猛反発が起きます。しかも猛反発とは、議論が紛糾するなどという正々堂々としたものではありません。根も葉もない噂であり、誹謗中傷であり、マスコミの発言切り取り報道やスキャンダル報道であるわけです。
中田宏氏は、実直すぎる性格の影響でかなりのダメージを被ったようです。しかし幸いなことに橋下徹はタフです。内心は生き地獄でしょうが、少なくとも弱気な姿勢を決して見せません。どんな偏向報道が出ようと、スキャンダルがねつ造されようと、凄まじいばかりのTwitter連投で猛烈に反撃します。橋下徹が既得権益の攻撃に屈するなど考えられません。
とは言え改革の旗手は極めて孤独です。出る杭は打たれるのだから仕方がないと見過ごすのも私は面白くありません。だから皆さまに提案があります。はてなダイアリーの読者の方々なら、例えば発言切り取り報道を見ても、もはやマスコミの芸の無さに失笑するばかりでしょう。橋下徹の名が電車の中吊りに載ったら「よしよし頑張って仕事してるな」とニヤけてやりましょう。週刊誌に載れば載るほど、しっかりと仕事をしている証明となります。橋下徹にとって、スキャンダルなど勲章にしかなりません。
11/28 10:34追記/一夜明けて、ちきりんさんが同様の意見を書かれていたので、ぜひ併せてお読みください
- 作者: 中田宏
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