【北京・成沢健一】中国政府が東欧のマケドニアに大型のスクールバス23台を寄贈したことが、中国国内で強い反発を受けている。今月16日に内陸部の甘粛省で幼稚園の送迎車が定員のほぼ7倍の園児らを乗せて事故を起こし、21人が犠牲となったことが背景にあり、インターネット上では「外国よりも先に自国のスクールバスの問題を解決すべきだ」といった意見が書き込まれている。
バスの寄贈は25日に行われ、崔志偉駐マケドニア大使は贈呈式で「中国は発展途上国で課題に直面しているが、力の及ぶ限り対外援助をしている。バスの寄贈は学生の学習環境をさらに改善するだろう」とあいさつした。
中国外務省が26日にウェブサイト上でこの様子を紹介すると、ニュースサイトがこれを転載し、ネット上には批判の書き込みが殺到した。自国のスクールバスの整備を求める意見のほか、「官僚は貧困地域の子供のことなど気にかけない。彼らの子供たちは安全で快適な(独高級車の)アウディで通学しているから当然だ」と皮肉る意見もあった。
香港メディアによると、ネット上には10時間足らずで約50万件の書き込みが寄せられ、大部分が寄贈を批判するものだった。中国外務省のウェブサイト上では27日、バスの寄贈に関する記事を開けず、削除されたとみられる。
旧ユーゴスラビアのマケドニアは中国と93年に国交を樹立した。しかし、99年から2年間、経済援助の見返りに台湾と外交関係を結び、中国と断交した経緯がある。
毎日新聞 2011年11月28日 東京朝刊
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