RENEW DSが加わってから3台のDSを使い分けている。DSの信号伝送はすべてLANケーブルを使うので、当然ながらDS本体が増えればそれだけLANケーブルの数も増える。
また、NASもいつのまにか計5台に増えてしまった。すべてを同時につないでいるわけではないが、設置場所によってはNAS用のLANケーブルも長めのものが必要になったり、ルーターの端子が一杯になるなど、LANまわりの環境は結構複雑なことになってきている。そろそろ本腰を入れて整理、チューニングする必要がありそうだ。
オーディオ信号の配線は定期的に接点をクリーニングしたり、スピーカーターミナルの増し締めをするなど、それなりにメンテナンスをしているが、LANケーブルは一度つないだ後は放置状態になりやすい。LANケーブルの比較試聴のために配線を外すことはあるが、そのときにあらためてまわりを見回すと、NASやルーターのACアダプターのすぐ近くをLANケーブルが通っていたり、他の機器のACケーブルが交差していたりと、こちらもかなり気になる状態だ。
LAN環境の整理で真っ先に取り組むべきことは、モデム、ルーター、NASなどを信号の流れに沿ってシンプルに配置することだろう。電源ケーブルに沿ってLANケーブルを配置しないことも重要だ。ルーターも輻射ノイズを出している可能性があるから、DSなどオーディオ機器とはなるべく離して設置する。
そうした工夫と同じぐらい重要なのが、ケーブル自体の性能、特にノイズ対策の有無とその中身が肝心だ。LANケーブルによる音の違いの大半はノイズ対策の効果の差に由来するというのが、これまでの経験から私が導いたいまのところの結論で、導体の構造や素材の差はそれほど大きな違いを生まないように思われる。
最近発売されたLANケーブルのなかで、ノイズ対策の点で私が注目しているのがアコースティックリバイブのLANケーブル「LAN-1.0PA」(¥18,900/1m)だ。
導体に単線(PCOCC-A)を使っている点に普通は注目が集まると思うが、それに加えて銅箔を中心にしたシールドにも目を向けたい。銅箔はアルミ箔よりも広い帯域のノイズを抑える効果があるとされ、環境によってはその効果が十分に期待できるのだ。また、コネクタ部のインピーダンス管理を徹底するなど、ケーブル開発に豊富な経験を持つ同社らしい配慮が行われている。コネクタ部の強度と精度は私がリファレンスで使っているエイム電子のケーブルとほぼ同等で、接点との接触は確実だ。
もうひとつ、これからの季節に重要な対策として静電気への配慮も不可欠だ。これにはナノテックシステムのケーブル・アップグレードリキッド「CUG-1」をシース部分に使用するのが手軽かつ確実だろう。ティッシュなどに数滴吹き付け、そのままLANケーブルの外装が軽く濡れる程度に塗布していく。これだけのことだが、帯電防止効果と絶縁体表面の抵抗値を低減する効果があり、実際にその作用は顕著なものがある。
LANケーブルを変更した効果は、PC用の6eケーブルと比べるとはっきりと聴き取ることができる。KLIMAX DSはLANケーブルの音の差をはっきり再現するということもあるが、ここでの差はちょっとやそっとのものではない。LAN-1.0PAに交換すると音の輪郭、音像のフォーカスがすっきりと揃って、透明感の高さが際立ってくる。
次に、LAN-1.0PAと、いま使っているエイム電子のSHIELDIO「NA1-S010」(¥18,900/1m)を比較してみたが、音の差はPC用ケーブルとの違いに比べてかなり小さい。すぐに気付くのは低音の立ち上がりに僅かな差があることで、LAN-1.0PAよりもNA1-S010の方がやや緩やかな感触を持っている。
一方、同じエイム電子から最近発売された「NA3-R010」(¥37,800/1m)は音色やピッチが非常に正確で、音が立ち上がるときの初速もかなり速く、アタックも明瞭だ。音像のフォーカスはLAN-1.0PAの方が高精度に合っているが、その差はごく僅か。どちらもにじみがなく、生の声に限りなく近いリアリティがある。声の質感や柔らかさはほぼ互角と言っていいだろう。一方、ベースのスピード感ではNA3-Rに際立った速さを感じた。
この3本のなかでは、NA3-RとLAN-1.0PAがほぼ互角、低域がややゆったりしているNA1-S010は僅差でその次という順番になる。
いま使っているNA1-S010をすべて他の2製品のいずれかに変えるつもりはないが、KLIMAX DSにつなぐLANケーブルはNA3-RとLAN-1.0PAの対決になりそうだ。ここでは結論を急がず、環境を変えて、またあらためて聴き比べてみるつもりだ。
CUG-1の効果は、4本のLANケーブルのすべてに共通して聴き取ることができる。こちらは一つひとつの音の粒立ちやスピード感よりも、ステージ後方や天井方向に抜ける余韻に広がりが出て、澄んだ音場を再現する方向に向かうことを確認した。