米国務省のケビン・メア日本部長は、駐日米大使館安全保障課長を務めた2005年〜06年、在沖米総領事を務めた06年〜09年にも沖縄の米軍基地関係で幾度となく県民に配慮を欠き、差別的とも言える発言や行動を繰り返し、県民の反発や怒りを招いた。メア氏の沖縄関連の発言や行動を当時の県内や日本政府の受け止めなども含め、あらためて振り返る。
【駐日米大使館安全保障課長時代】(2005年〜06年)
「軍隊ではなく、個人の問題だ」「一般社会でも起こり得る」(2005年7月5日、駐日米大使館)
米兵による小学女児強制わいせつ事件で、社民党の照屋寛徳衆院議員らが抗議した際の発言。当時の花城順孝県知事公室長らが「県民世論の反発の強さを理解していない」などと反発。その後、米大使館は「コメントは会話の中の一部が取り出されたもの」と発言を認めた上で「事件の重さを矮小(わいしょう)化するものではない」と釈明した。
「沖縄県民には冷静に考えて理解していただきたい」(06年2月7日、福岡市内)
米軍再編中間報告の報道関係者向け説明会で、普天間飛行場の県内移設の必要性について強調した後の発言。
【在沖米国総領事時代】(06年〜09年)
「米軍にとってPAC3(地対空誘導弾パトリオットミサイル)は貴重。(在日米軍)各基地に配備できるものではない」(06年7月21日、在沖米国総領事館)
「反対する時期ではない。今脅威があるから一刻も猶予すべきではない」(同、在沖米国総領事館)
嘉手納基地と嘉手納弾薬庫地区にPAC3が配備されるに当たって、本紙の取材と会見でそれぞれ発言。米軍が地元の反対を押し切り嘉手納弾薬庫にPAC3を搬入したことに関し、当時の高市早苗沖縄担当相は同年10月、内閣府でメア氏と面談し「誠意ある説明が欠けていた」と抗議した。
「普天間は特別ではない。飛行場として特に危ないとは思わない」(06年8月10日、在沖米国総領事館)
本紙の取材で米軍普天間飛行場周辺の住宅が密集した現状について発言。当時の伊波洋一市長や平和団体などが一斉に反発。当時の花城知事公室長は「配慮が欠けており残念だ」と批判した。
「紛争を非武装で抑止できると考えるのは幼稚。在沖米軍の存在が抑止力になる」(06年9月30日、石垣市内)
尖閣諸島問題や中国と台湾の緊張が取りざたされていた八重山地域の現状に関し、本紙の取材に応じた際に発言。
「日本の安全保障に貢献している米海軍の入港になぜ反対するのか理解しにくい」(07年6月19日、在沖米国総領事館)
在日米海軍掃海艦の与那国島への寄港に関し、本紙の取材に対し発言。
「米側が調査し原因は分かっているのに、整備員の名前を聞いて(県警が)何を調査したいのか疑問だ。事故が起きない方の努力が大事だ」(07年8月9日、在沖米国総領事館)
本紙の取材で、県警が当時の事故ヘリの整備員4人の氏名開示を求めたが米側が応じなかった理由について発言。当時の伊波洋一宜野湾市長らが「県民感情を逆なでする発言」などと批判した。
「日本の領土内の米軍施設内で、日本の自衛隊が共同使用、訓練するのになぜ反対するのか不思議だ。日本の防衛のためで歓迎すべきだ」(08年1月30日、在沖米国総領事館)
陸上自衛隊による米軍キャンプ・ハンセンの共同使用について定例会見で発言。
「不当な抗議行動をする方と会っても冷静な議論はできないと考えた」(08年2月27日、在沖米国総領事館)
米兵女子中学生暴行事件を受けた平和団体の抗議行動に対応せず、飲食店に出掛けたことに関し、本紙の取材に応じ発言。
「ある政治家と団体が政治的に利用し、政争の具にしようとしていることは非常に残念だ」(08年4月3日、在沖米国総領事館)
定例会見で日米地位協定改定の動きについて発言。当時の高村正彦外相は同年4月8日の参院外交防衛委員会で、「日本人としてあまり愉快ではない」と不快感を示した。
「もし見直しの動きがあれば、米側からは大変非対称な日米安保条約自体が不公平だという声が出てきて、安保体制自体の話になって難しい問題になる」(08年7月10日、琉球大学法科大学院)
講演で、日米地位協定見直しの動きが高まっていることに関し発言。
「基地外の建設を制御する安全基準で、逆に滑走路の近くの基地外になぜ、宜野湾市が建設を許しているのかという疑問がある」(08年7月11日、在沖米国大使館)
当時の伊波洋一宜野湾市長が、米軍内の安全基準に普天間飛行場が違反していると指摘したことに対し、定例会見で発言。普天間爆音訴訟原告団が沖縄からの「退島」を要求するなど怒りの声が上がった。
「置いていた物が取られても捨てられたごみを片づけただけではないか」(09年4月4日、在沖米国総領事館)
米海軍掃海艦の石垣港寄港に反対する市民らが港の金網に掲示した横断幕がなくなっていたことに対し、本紙の取材に答え発言。当時の大浜長照石垣市長が「民主主義に対する挑戦だ」と抗議声明を発表。
「3年間でいくつか選挙があったが、一番の争点は基地ではなくなった。県民は10、20年前より現実的になった」
「抽象的に質問すれば県外がいいと答える人が多い。普天間飛行場を維持するか、米軍再編の下で移設するかなら、ほとんど移設と答えるだろう」(09年7月7日、琉球新報社)
離任あいさつで訪れた際の発言。
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