『刑事被告人・小沢一郎』(221)
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『刑事被告人・小沢一郎』(221)
彼は、現在・只今『刑事被告人』である事は厳然たる事実です。この事実を何人たりとも否定する事は出来ません。然るに、彼を民主党の代表・総理大臣に推す愚か者が存在する事に愕然としました。
愈々「刑事被告人・小沢一郎」の裁判が始まります。検察が不起訴にした事件を、国民の代表である「東京第五検察審査会」が二度に渉り「起訴相当議決」を経て「強制起訴」された裁判が始まりました。
先日から『角栄になれなかった男(小沢一郎全研究)・著者松田賢弥氏』(講談社刊)を、ご紹介しています。一冊の書物を書き起こしてお伝えするため、多少の誤字・脱字はお容赦ください。
「政界最後のフィクサーの涙」
直弟子・小渕の壮絶な死を、神奈川相模原市の北里大学病院の病室で知った竹下はただ手を合わせ悼んだという。そして前述したように、2000年(平成12年)6月19日、小渕の後を追うようにして逝った。
遠戚の血の繋がりを背景に、小沢は竹下に対して最後まで近親憎悪に似た怨念の感情を抱き続けたと私には思えてならない。経世会分裂劇で竹下と絶縁した小沢は1993年(平成5年)2月、竹下の義母の葬儀が地元、島根県雲南市(旧飯石郡)掛合町で営まれた際、和子夫人ともども姿を見せることはなかった。金丸と突然、連絡を絶ったことと似ている。小沢は竹下の死後『政権奪取論』でこう語っている。
<竹下さんはね…、もう義理の兄弟だし、亡くなった人のことあんまり言うのもあれだが、そうでもない。竹下さんは疑い深くてね。(中略)竹下さんの苦労は生活の苦労ではなく、人間関係でしょうね。造り酒屋の息子だから、生活の苦労はない。金丸さんの実家も造り酒屋だ。金丸さんはのん気に、素直に育ったと思う。人間いろいろ、それぞれ家庭の影響があるね>
人は、誰しも出自をかかえている。育った環境から解き放たれることはできない。閉ざされた豪雪地帯で育ったからこそ角栄という類まれな政治家が生まれように、政治家はその志の根底に自身の出自が大きな影を落とし、流れている。しかし、小沢の場合はどうか。岩手から出て、角栄はもとより金丸、竹下の庇護なくして権勢はふるえなかった彼はどこで、世間の裏、暗さ、辛さを知り、地べたを這いずりまわるような苦労をしてきたのか。
小沢には物事につまずいた時、自分の何が至らなかったのかという自責の念が感じられない。いつも誰が自分の邪魔をしたか、しないか、自分の敵か、味方かで人を見る。敵とみなしたら容赦しない。梶山静六、野中広務、二階俊博、中村喜四郎、船田元、石破茂、小池百合子など、そんな小沢に絶望し、離れて行った政治家は数多い。人はそれぞれの出自が異なれば物事の考え方も違う。角栄とは比ぶべくもないが、今もってそれでも角栄が好きだと言う人が跡をたたないような、人との靭帯が小沢には見られない。包容力の器に欠けているのだ。
竹下の側とで、前述したように「政界最後のフィクサー」とも呼ばれた福本邦雄と私が東京・田園調布の自宅で有ったのは2007年(平成19年)7月下旬の暑い日だった。その2ヵ月前、私は出雲市にある青木伊平の墓参りの帰路、出雲から車で1時間程、山間の道を広島方面へ南下し、竹下の地元、掛合町で開かれた竹下の銅像除幕式と偲ぶ会に顔を出していた。私は福本と会う際、その会場でもらった竹下の追悼集を携えていて、「福本さんが持っておられた方がいいでしょう」と、車椅子に座る福本に手渡した。福本は「すみませんね」と言って、痩せ細った手で追悼集のページをめくりながら唐突に、とめどなく涙を流し、拭うことがなかった。
「銅像なんて作るべきじゃないだよ・・・。権力者と言うのは、英雄視されずに土に還らなくてはならないんだ。銅像を作るのに5000万か、6000万円かかているか。そんなカネがあったら(竹下夫人の)直子に渡したらいい。直子だってカネがある訳じゃないんだから・・・」
さらに、福本は震えをおびた声でこう語った。
竹下は田中角栄に公然と叛旗をひるがえした。『親殺し』と呼ばれながら生きるか、死ぬかの思いだった。私が『小沢に平気で裏切られているじゃないか』と言ったら、竹下は『おれは田中元総理に背いた。権力を目の前にしたら小沢は俺を裏切る』と言うんだな・・・」
福本が83歳で亡くなったのは2010年11月1日のことだった。小沢と言う人間について、彼の口から聞いておきたいことは山ほどあった。小沢は『語る』でこう言う。
<竹下さんの場合はもともと、一番の支えは金丸さんであり、僕だったはずです。しかし金丸さんの事件の時も、竹下さんは何としても金丸さんを守るという姿勢を見せなかった。それに、誰でも偉くなると天上天下唯我独尊になる。僕のように自分にズケズケ文句いったり、ご機嫌を取らない人を面白うないというふうになったんだろうと思う>
いま、「天上天下唯我独尊」になっているのは、とりもなおさず小沢自身だろう。角栄、金丸、竹下は死んだ。小沢の過去を知り、彼の実像を語れる人間はほとんどいなくなった。しかし、小沢と言う人間の体質に沁みついている裏切り、怨念、権力、そしてカネへの執着は決して見逃すことはできない。
次章では、自民党離党後の小沢の動向を追うことで、胆沢ダム建設をめぐる西松建設違法献金事件に端を発した「政治とカネ」疑惑の深層を浮き彫りにする。そして、小沢一郎のカネの源流にゼネコンからの献金とは別に、税金である政党助成金を使った巨額の使途不明金があることを指摘し、「小沢一郎金脈」の実態を明らかにする。
愈々、明日から、本書の核心に迫る事になる。「刑事被告人・小沢一郎」は、角栄を裏切り、金丸を裏切り、竹下を裏切った。そして、自民党さえ裏切って、己の権力とカネ守ろうとした。 熱海の爺
追伸・今日は、今から群馬の実家(婆さまの)へお墓参りに行ってきます。今夜は東京泊りです。定宿はお台場の「ホテル日航東京」です。明日、帰るまで投稿できませんが、お許しください。 |