プレミアリーグでは今季から新ルールが導入される。若手の成長促進が期待される“ホーム・グロウン・ルール”が適用されるのだ。欧州のCLでは、出場クラブの登録選手の中に一定数の「自家製」を必要とするルールがすでに採用されている。プレミアの各クラブが、国内リーグにも同様の規制を設けることに合意したのは昨年9月のことだった。
プレミアの新ルールでは、1軍登録メンバーに占めるシニア(22歳以上)選手の数が最大25名に限られる。そのうち最低8名は、21歳の誕生日を迎えるシーズンが終了するまでに少なくとも3年間を国内(ウェールズ含む)のクラブで過ごしていることが前提となる。また、各クラブは夏の移籍市場閉幕までに上記の条件を満たす登録リストをリーグに提出する義務を負う。リストには21歳以下の選手であれば随時追加登録できるが、シニア枠の内容は4カ月後に冬の市場が開幕するまで選手の入れ替えすら許されない。
導入が決まった当初は大して注目されなかったが、施行を目前に控えた今夏は少なからず世間の話題をさらっている。特に、出来合いの外国人選手を買い集めてきたビッグクラブが、どう対処するのかが興味深い。
10人以上が出場枠からあふれるマンCのリストラ策は?
最も困難が予想されるのはマンチェスターCだ。新ルールは、金満クラブが即戦力を買い漁ることを防ぐためにあると言っても良い。マンCは昨季のリーグ戦で合計30名のシニア選手を起用した。チームには、7月末までにトゥーレ・ヤヤ、ダビド・シルバ、アレクサンダル・コラロフと、さらなるシニア戦力が加わっている。このままいけば10名近い選手が登録枠から漏れることになる。シーズン前半をスタンドで観戦する屈辱は、高給をもらってはいても選手にとっては耐え難いはずだ。出場機会を求めて移籍を画策するのであれば減給を覚悟しなくてはならない。マンCでは、ユース出身のスティーブン・アイルランドでさえ、週給にして1千万円近くを稼ぐ。クラブが給与を分担するレンタル移籍でシニア組の人員整理に努めなければ、不満だらけの選手が増え、チームの雰囲気が悪化しても不思議ではない。
昨季のプレミアでマンCと4位を争ったトッテナムも人員過多が危惧される。ハリー・レドナップ監督は、ジョナサン・ウッドゲイトを登録に含めるかどうかで頭を悩ませているようだ。能力は国産随一とも言われるウッドゲイトは、怪我で昨年11月に戦線を離脱したまま。「登録期限までに彼のフィットネスを見極めることは難しい。25名の枠を無駄遣いしたくもない」とレドナップが処遇を思案する30歳のCBは、CL出場を前にトッテナムを去らなければならないかもしれない。
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