僕がWebディレクターの肩書がついてから勉強した15のこと
2010/10/22, 10:00:20
僕が業界に入ってからまず最初の目標としたのは「Webディレクター」という肩書をもらうことでした。
その目標を立ててから約1年ほどで半ば強引に達成したのですが、(上司が退職して引継ぎ時に会社に志願して名刺に入れていただきました。)当時は「Webディレクター」という職種を現場監督つまり「下のスタッフを仕切る役割」だけの職種と勘違いしていました。
実際にお客さんの前に出て仕事をしてみると当時の僕には「Webディレクター」という職種を名乗るにはあまりにも知識・経験不足ということを思い知らされたことを今でも覚えています。
そう痛感させられた日から今日まで僕が勉強してきたことを今日は投稿したいと思います。
Webマーケティングの知識
まず単なる技術屋が「Webディレクター」という肩書だけもってのこのこお客様の前に立って話をした時にこちらとあちらの話が擦りあわないのはこの分野の知識と営業戦略(の基礎)を理解出来ていないかなと思います。単純に言えば「売ってほしいもの」と「売ろうとしているもの」が違う。
もっと具体的に言えば「Webで売上を上げる術を売ってほしい」のに「Webで簡易に管理できるシステムを売ろうとしている」
最近は見積もりやデザインがことごとくつき返され続けた日々はここの理解が出来ていなかったからかな?とも思っています。
この項目がWebマーケティングといっても多岐に渡り範囲が広いです。
- SEO(SEM)
- リスティング・バナー等のインターネット広告
- クロスマーケティング
- アクセス解析
- プレスリリース
- アンケート
- LPO
- メールマガジン
- AISAS
- 3C分析
色やデザインに関する知識
元々プログラマ出身だったので正直「デザインなんていらんでしょ」って考えてました。デザイナーのみなさんすいません。今はデザインの大事さを痛感しております。お許しください。デザイナー出身のディレクターさんならここはプログラミングになると思います。
ディレクターと肩書がつくのであれば「いやぁ、僕、プログラマー出身なんで」って言い訳は通用しないと思っています。(冗談ではよく言ってますが)
コピーライティング
この分野についても大変知識不足だったので勉強しました。当たり前の話ですがまず見てもらわないことには何も始まりません。
今はWebで一番大事なものは?と聞かれたら「コピーライティング」と即答しております。
中小企業の方がWebでつまずきやすいポイントでもあります。
情報設計
この分野は実は今もう一度勉強し直しているところです。Webで一番大事なもの=コピーライティングと考えた時にそのコピーを活かすのは情報設計という考え方が必須だからです。
コピーライティングが「来てもらう」ための手段なら情報設計は「買ってもらう(までを導く)」手段だからです。
リピーター育成の営業
新人営業さん向けの営業本とかも良く読んだりしています。理由は2つあり、Webディレクターという職種は営業職も求められるポジションであるということと
実際営業ができなくても「営業とは何か・どういうことをしてお客さんに買ってもらっているのか」を知っておかないと売れるサイトなんて作れるわけないだろうと思っているからです。
ランチェスターの法則
ここまで行ったら経営学に近いのですが、これも勉強しました。なぜなら僕が担当させていただいているお客様は中小企業の規模のお客様が多いので今の考え方をそのままWebに上げただけでは通用しないケースが多々あります。
失礼なお話かもしれませんが、自社の強みと豪語されていますが、第三者の立場で見た場合、全国の競合相手だと「普通」もしくは「強みにならない」こともあります。
Webマーケティングもそうですが、営業戦略というかWebの方向性についてご相談いただくケースもあるので基本的な考え方は押さえてこの法則に則ってアイデアを出すようにしています。
プロジェクトマネジメント
なぜプロジェクトは遅れるのか、「夏休み症候群」を防ぐためにどう考え、行動すれば良いか、納期までのデッドライン工数の割り出し方やその防止のためのスケジューリングなどを勉強しました。しかし、自分一人が分かっていてもチームスタッフ、またはお客様に影響を与えるレベルまで実践するのにかなりの時間を要しました。(正直、まだ完ぺきといえる自信はないです。どれもそうですけど・・・)
工数で見積もりを出すという考え方・やり方
Web=1ページナンボ。という習慣が色濃く残っていますが、個人的には見積もりは工数で算出すべきと思っています。今やWebもシステム的な要素が絡む案件(CMS化含む)が多いですのでこの考え方は必須かなと思います。
Webに関する心理学
これは上に述べた営業的な考え方に似ていますが、接客できないWebにおいて「購入者の警戒心・購入意欲をいかにコントロールできるか」が肝だと思っています。コピーライティング・情報設計に続く「購入というボタンを押してもらう」手段ですね。
ECサイトの成功学・法則
Webで一番難しいのはECサイトだと思っています。実際、資料請求、問い合わせに比べ、購入率というのは一番コンバージョン率が低い傾向にあります。
この数字から見るにやはり接客できないWebにおいて「購入してもらう」というところまで持っていくのがいかに難しいか、ということです。
逆に言えばECサイトの成功事例を学ぶことにより他のゴールが設定された案件でも応用が効くかと思います。
ヒット商品の出し方
アイデアの出し方ともいえますが、上にも述べたとおりそのままWebで上げても成功せんだろうなぁ。と悪い核心を抱く案件も少なくありません。代替案を出すために商品開発までの考え方・傾向などを書いてあった本を読みました。
ありとあらゆるスパムのやり方
特にSEO業者に多い気がするのですが「ホワイト」もしくは「ブラック」どちらかの方法しかソリューションを持たない企業が多くあるように思います。これはどちらかに特化してるわけではなく「どちらかしか出来ない」もしくは「どちらかの方が得意だから」どちらかの方法を顧客に押しつけていると考えます。(持論です)
僕も基本、「ホワイト」を強く推奨していますが、それは「ブラック」が出来ないから、という言い訳をしたくはないと思っています。
また「ブラック」を知ることで未来予測の精度を高めることが出来るケースもあるからです。
どちらかを推奨するのはこちら側の勝手ですが、選択するのは顧客です。
双方のメリット・デメリットを理解した上で選択していただくように心がけています。
会社がV時曲線で回復したとかいう成功事例
これも成功事例・考え方になるのですが、リニューアルという案件のお話をいただいた時に大抵の場合は「今が上手くいっていないから」です。(当たり前の話ですが)別に会社のV時曲線で回復したに限らなくていいのですが、「上手くいっていないものを上手く回すようにする仕組み」の考え方は頭に入れておいた方が良いかと思います。
一流アスリートの本・自己啓発・自己プロデュース
「練習は一番へたくそと思って本番では一番上手いと思って試合に臨む」という考え方を持ち、お客さんの前では物怖じせず、かといって慢心せずモチベーションを保つため1流選手のモチベーションや練習に対する姿勢などの考え方を学びました。またお客さんの前でどう立ち振る舞うべきかもこのような本を通じて考えを構築していきました。
CMや今話題のこと
TV番組は見ませんが、CMはよく見ています。CMは注意深く見ると今の時代の消費者へのアプローチの仕方やマーケティング戦略が見え隠れするので流れているCMのその裏を自分なりに紐解いています。
なぜ「お父さんが犬なのか?」と今でもCMを見るたびに考えています。(笑)
また今話題になっている本や映画などにも出来るだけ内容を把握するようにしています。
これも「なぜ」流行っているのかを自分なりの答えを見つけるように考えています。
不思議に思いませんか?なぜ48人という名前も覚えられない人数で構成されていて、その辺にいるような小娘たち(失礼)が国民的アイドルと呼ばれているのか。
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Comments
質問、反論なんでもOKです。お気軽にコメントをください。
※コメントは承認後、反映されます。
初めてコメントします。
今日初めてこちらのブログを拝見したんですが、大変参考になりました。
質問なんですが、各項目で参考にされた書籍はどんなものがありますか?
WEBディレクターさんが必要だと思った知識を取り入れる為に読んだ書籍がとても気になります。
mok様
コメントいただきありがとうございます。このブログの内容が参考になれば幸いにございます。
Webマーケティングは「中小企業0円でできるPR方法」的な本を読み漁った覚えがあります。
プレスリリースやアンケートなど。
プロジェクトマネジメントは「ザ・ゴール」という本が面白かったです。
コピーライティングは「ザ・コピーライティング」という本を後輩デザイナーなどに強く薦めております。
あとは「ランチェスターの法則」
なども個人的にオススメです。
返答頂きありがとうございます。
参考にさせて頂きます!
初コメントです。
同じような年代で似た仕事を片足突っ込んでやっているものです。
基本紙物をやってますが、会社が小さいのでWEBもやったりしています。
が、ほぼ作りっぱなしのサイトが多くどうしていいのやら・・・と、WEBをうろついていたら、多田さんのこのエントリーに辿りつきました。
自分の仕事の仕方等、現状のままではイカンと思いコメントしてみました。
うまく纏まっていませんが、参考にさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
huziwi様
ご訪問、コメントありがとうございます。
huziwi様にとってこのエントリーが何かのキッカケになれば幸いです。
今後ともよろしくお願いいたします。
コメントありがとうございました!
大変興味深く読ませていただました。
クライアント側が感じたところとして、ベンダーさんに、伝えるチカラ、コレが欠けているなぁーと私自身多くのベンダーさんと付き合う中で感じています。
その解決方法の一つとして、全て記録して、共有するよう心掛けています。その場で勢いで交わした内容を文字にすることで、気づくこともありますし、後戻りが格段に少なくなりますよね。
これ、ベンダーさんできてないとこ結構多いです。
あと、クライアントのプロジェクトのデットラインと、ベンダーさんの開発のデットラインの違いをきちんと双方理解することが大事ですよね。
なんか、すべて当たり前のことばかりのコメントですいません。
はじめまして。Twitter経由できました。僕もディレクターやってます。いろいろと共感できるものがあるなあと思いながら改めて自分のすぎるのなさを感じました。
本当の意味でのディレクターって相当、器用な人しかできないと思ってます。
はて、自分はどうなるのやらと思いながら最近過ごしています。
田辺様
ご意見ありがとうございます。
議事録と最終決定者の確認、これは必須ですよね。
あとイキナリITの話をするとクライアントが委縮されるのでITの話はしないようにしています。
最初の段階でいかにITから離れることが伝えるチカラを左右するのかな?とも思っています。
コメント嬉しいです。ありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。
show-hey様
はじめまして、ご訪問ありがとうございます。
show-hey様にとって何かのキッカケになれば幸いです。
それと僕は不器用ですよ、この業界でしか生きていく自信がありません。
だからこそ必死で生き抜いていこう!と切羽詰まって勉強している日々でございます。
うーん概ね賛同できるけど、
>個人的には見積もりは工数で算出すべきと思っています。
ここだけは違うと思うなあ。
価値あるシステムの仕事を請け負えるようになったら縲怩セけど、「見積りはエンドユーザに対するシステムの価値」で算出すべきと思うよ。
いつまでも工数算出でやってると、いつまでも儲からないってとこかな。
テリー様
ご意見ありがとうございます。
ITの技術と認知の向上により見積もりの仕方(考え方)も変えなければということでしょうか?
なるほど、確かにまだ明確な答えは出ませんが、仰ってるニュアンスは自分なりに、漠然とですが、理解しました。
少し深く考えたいと思います。貴重なご意見ありがとうございました。
これからもよろしくお願いいたします。
奥に深い情報をお持ちですね。ランチェスターの法則はセミナーで知りました。経営者にはおススメですね。前日の音楽といい、ありがたいです。感謝です。
松原 エミ子様
ご意見いただき、ありがとうございます。
ランチェスターは発注者側にも勉強していただきたい分野ですね。
あと音楽の件については見覚えがないのですが、何の事を仰ってるのでしょうか。
お教えいただければ幸いです。
はじめまして。記事拝見させていただきました。
僕も半年ほど前まで、「Webディレクター」をしていたので、書かれていた内容には共感を覚える部分が多かったです。
(今はデザイナーとして仕事しています。)
中小企業様のサイト制作は本当に難しいですね。
本文に書かれていた、
“失礼なお話かもしれませんが、自社の強みと豪語されていますが、第三者の立場で見た場合、全国の競合相手だと「普通」もしくは「強みにならない」こともあります。”
この部分は、特に共感を覚えた箇所です。
企業の強みを引き出す事の大切さと難しさ、それを表現するサイト制作、その先にある目的・目標の達成・・・などなど。
「ディレクター」という仕事の難しさを改めて認識し直せた内容でした。
この記事を読んで、もう一度初心に返って、サイト制作の勉強をしてみようと思います。
また、拝見させてもらいます!
chimiochimio様
コメントありがとうございます。
どうしても使えるお金とコストなど考えると仰るとおり、「作る前」で勝負が決まる事も多々あると思います。
本来「ディレクター」はそこまでの守備範囲ではないとの意見もあるのでしょうが、
日本のWeb制作の現状を見ているとそうとも言っていられない部分があるかと思います。
chimiochimio様にとって何かのキッカケになればうれしいです。
今後ともよろしくお願いいたします。