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[30653] 【習作】ラグナロックの少女 / R-タイプⅢ
Name: あうたーぞーん◆ff6b1c3c ID:798e472a
Date: 2011/11/25 21:51
この物語は、R-タイプⅢのエンディング後を妄想したものです。



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西暦2245
第3次バイドミッション。

オペレーションコード THIRD LIGHTNING

その作戦を成功させるため、一機の戦闘機が誕生した。
完全ハンドメイドによる、革新的な技術をふんだんに盛り込み、作られた機体。

ラグナロック

その機体にて、銀河中核にある、マザーバイド、セントラルボディーを破壊。
バイド体を次元の彼方に追い落とす事に成功。
マザーバイドの一時的な消失は人類にとって喜んでいい知らせだ。
バイド汚染体はその活動を弱める事にはなる。

いまだ、バイドとの戦いに終わりは見えてこない。
殲滅するにはまだ力も、そして、手数も今の人類には圧倒適に足りていない。
マザーバイドの所在地は不明。
その存在の消滅は確認されてはいない。
バイドとのパワーゲームは、終わらない。


人類は、余命を伸ばす事は許された。
ただ、それだけだった。


次の世代へ希望を残した人類。
最後の決戦に挑む力をつけるのは、は何時になるのだろうか…



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出撃までに用意できた機体はたったの3機。
作戦を完遂して、生還できたのは私だけ…

だが、生還した私を待っていたのは、レーザーとミサイルの嵐だった。
生還できた事を喜ぶ事もなく、私は回避行動をとった。
そのとき、過去の資料が頭をよぎる。
第1次バイドミッション後、宇宙空間に漂っていたR9。
回収され、対バイド戦闘用の参考資料として保存されていた機体は、
突如として起動。
汚染を撒き散らし、軍事ステーションを飲み込み混乱と、
大失態をさらすと事になる。
完全に機能を停止していたR9ですらあれだけの汚染を撒き散らしたのだ。

生還した機体ならそれの比じゃないと考えたのだろうか?
…軍は第3次バイドミッションを成功は考えていたが、
R戦闘機の生存は考えていなかった?
私の乗っているラグナロクは、汚染されていると考えられた?
色々な事が頭の中をよぎる…
だけど、こちらが攻撃するわけにはいかない。

残された選択肢は限りなく少なかった。
悩んでいる暇はなく、私は攻撃の合間を縫うように飛行し、大気圏に突入。
そのまま海上へと出た後、時間をおかず墜落をよそおって、海に突っ込んだ。
同時に大破して動かなくなっていた推進ユニットを一機パージ。
波動砲で打ち抜き、爆破して破片を撒き散らす。
そうやって目くらましをした後、そのまま海中を進む事、丸一日。
浮上して、追撃のないことを確認すると、地面を這いずる様な高度で陸地を進み、
深い森の中に機体を下ろした。


とんだ笑い話だ。


命がけで戦った結果は、最悪の出迎えで…
とっさの判断で逃げ回ったりはしたが、結局行き先なんてない。
機体のダメージは限界付近。
エネルギーは底を付きかけ、主兵装のレールガン・波動砲は機能不全。
慣性駆動系は機体のバランスを保つのが精一杯。
これ以上は戦えない。
操縦桿から手を離した私は、絶え間なく、鳴り響いている、耳障りなアラームをカットする。
…もう機体を降りる体力すら。


「まあ、悪くない最後なのか、な…」


一応は、地球の大地の上で死ねるわけだし。
だがそれを拒むかのように、体中から発する痛みは、
その痛みで、薄れ消えようとする意識を繋ぎとめる。
何故なのか解からない。
もう楽になったって良いじゃないかと思う自分がいて…
でも、もう一人の自分はそれを納得せず…

-死ぬの?それでいいの?-

自分自身なのに、納得したはずなのに、しているはずなのに詰め寄ってくる。
疑問を投げかけてくる。
それは…


-駄目、だめだよ。まだ死ねない-


死ねない?
もう生きる理由がないのに、それでも死ぬなとは良くわからない。


-だって私はまだ生きていないもの。だから-

「…私はまだ…死ねない?」

-そう。生きなきゃね?-


よくわからないが私はまだ死んではいけないらしい。
逝かれた精神とイカれた頭はまだ私に生きろと言ってくる。
なら、もう少しだけ逃げてみるとしようか。
機体に常備されている医療キッドから、震える体で鎮静剤を取り出すと、
過剰投与になるのもかまわず体に打ち込んだ。
震えていた体はやっとの事で、収まるが、いつまで持ってくれるか、解からない。
爆発ボルトに点火して、キャノピーを吹き飛ばすと私は機体を降りた。
密閉されていた空間から開放された私の耳には、うるさいほど自然の音が飛び込んでくる。
風が揺らす木々のこすれあう音。
流れる自然の風を受けるのはいつ以来だろうか。


「コレが、地球か…」


帰ってきた事を再度実感するのは後にして、ともかく…歩く事にする。
少しでも遠くへ。
視界も定まらないが、私は一歩一歩、歩いていく。
体が小さいせいか、重力の影響を受けにくい。
今となっては、この小さい体であることに少しは感謝できそうだ。
なんて…下らない冗談を考えている場合でもなかった。
それで限界だった。
機体から、わずか数十メートル離れたところで私は絶望する。
聞きなれた慣性駆動音…
それが、近づいてくるのが解かった。
徐々に大きくなってくる音は一定の割合で大きくなってゆく。
方向を変える様子はなく、まっすぐにこちらに飛行しているのだろう。
視線を上に向けると上空には独特のシルエットを持つ機体が確認できる。
全体を確認する必要のない機体。
機体の上面に索敵用の大きな円盤型レーダーを持つ偵察機。
R-9E2 アウル・ライトの姿を私は見た。
…補足された。
あの機体なら、私の生体反応まで拾い上げているだろうな。
エンジンを大破させた程度では、目くらましにもなっていなかったのね。
本当にココまでか…
さすがにこれ以上の逃亡は無意味。
近くにあった木に凭れ掛かるとそれ以上動くの私は辞めた。

その後、私は軍に回収される。
防護服を着た人間に、担ぎ上げられると、
そのまま用意されていた精神病患者が乗せられるような、
厳重な拘束具が付いたベッドに寝かされ、体を固定された。
まあ、良くてサンプルかな?
移送中にそんな事を考えていたのだが、
幸か不幸か、現地に到着した後の扱いは、とても丁寧だった。
あのレーザーの出迎えが何だったのかと言うくらいに。
移送先は軍の病院?で、送り届けられた後は、入念な精密検査を受ける事になった。
3週間はかかる精密すぎる検査の数々。
私は周りがなすがままに動いて検査を受け続けた。
そうして得られた結果は、判定は白。
不信な結果は出ず私がバイドに汚染されている痕跡は出なかった。
医療関係から安全と言うお墨付きをもらった時点でやっと、
軍は私への警戒のレベルを落としたのだった。
それから、更に数週間たった後、私の体調が落ち着いたのを見計らって、
医師は私にうれしい事を教えてくれた。

こんな私ではあったが…
こんな体ではあるが…


「ほ、本当ですか?」

「ええ。順調とは言いがたいですが、妊娠しているようですね」


発育不全であることを告げられるも、
新しい命を宿す事が出来た事は、涙が出るほど嬉しかった。
軍の研究機関で試験的に幼体固定処置を施され、
体を好き勝手に弄られたのにもかかわらず、自然妊娠。

大好きな人との子供。

医師に、身体的に出産は厳しいと言われ、
命の危険があるので、降ろすように勧められたが、私はそれを拒んだ。

共に戦い、帰還することなく、散っていった、あの人が私に残してくれたものだ。
私には、この子を産み育てる義務がある。

一歩も引かない私に、軍は

「出産を全面的にバックアップさせる事」

を、条件に出産を許可すると言ってきた。
胎児が汚染されているとでも考えているのだろうか?
色々と厄介な裏はありそうだったが、今の私に頼るところはなかった。
結局そのバックアップとやらを甘んじて受ける事にした。


7ヵ月後、私は無事に女の子を出産する。


私はその子をリニアと名付けた。


それから数ヵ月後、容態の安定した私は娘と二人暮しをすることを考え始めた。
宛がわれた病室は子供と二人でくらして行く分には十分なスペースと設備もある。
普通のキッチンやお風呂まで完備する、
いわば病室と感じさせないように考えて作られている部屋ではあった。
だが、どんなに自然を装って作られた部屋であっても病院の一部であり、
部屋を出れば、白衣の人間に立ち込める薬品の匂い。
ココは、実社会とは隔離された別の世界なのだと。
それに、容態の急激な変化に即座に対応するとして、
部屋の隅々まで見渡せる様に設置されたカメラ。
私が少しでも予定にない動きをすれば、
すぐさま警備員と医師が部屋に乱入してくる。
深夜にのどが渇きベッドから降りてキッチンに移動しただけで、
すぐさま私は押さえつけられ、精密検査を受ける事になった。
ともかく、不審な点と言うよりは細かく設定されているスケジュールに、
合っていない予定外の行動が少しでもあれば、すぐさま確認。
そして、精密検査を受ける事になる。
時間帯問わず、続けられる、度を越すような厳しい監視。
何がしかの体調の変化が常にあり、バイド汚染の疑いがあると言うのであれば、
仕方ないと諦めも付く。
だが、汚染はないと医師からお墨付きをもらって、体調の変化などまったくないのだ。
どちらかと言うと、どうにかして汚染の疑いをかける為に、やっているようにすら感じられる。
軍に入隊して、R戦闘機のパイロットに選抜された時、
私はもう、普通の生活には戻れないだろうという覚悟を決めた。
私一人なら、このまま何も言わず病棟でサンプルとして飼われても良かった。
だが、リニアがいるとなると話は違う。
子供の成長には、ちゃんとした場所と、普通の生活が必要不可欠。
少なくとも異変の名のものと、警備員や医師が乱入してくるような場所では、駄目だ。
私が駄目だった分、せめてリニアには真っ当な道を歩いてほしい。
生き方を選べなかった私の代わりに自由に生きてほしい。
要望を伝える事3年。
どこかで利害関係が動いたのだろうか?
想像していた以上に早く許可が降り、軍から郊外に一軒屋を与えられ、
親子で静かな生活を手にすることが出来た。
と同時に、今までの必要以上にあった干渉が嘘のようになくなり、
私達の周りは静かになった。
月に一度の定期的な身体検査のために医師が来る事はあれど、
それ以上の干渉はなくなった。
まるで、私達に興味がなくなったかのように。
今までの出来事が嘘のように、穏やかな時間が流れて。

子供らしく、活発に動き回るようになった娘を見るたび、
私は自分が笑顔になっているのを感じていた。
これから先も、この子が自分の道を自分の意思で選び歩いていくその時まで、
私はこの子を守り続けよう。


「ママ大しゅきぃ~♪」

「私もリニアが大好きだぞ~♪」

「あたしのほーが、ママのこといっぱいしゅきだもん~」

「ママだって負けてないぞ~」


そんな言葉が飛び交う日常。
私はやっと、手に入れる事が出来た。
幸せな家庭を…




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第3次バイドミッション最終報告


R-9/0 ラグナロック 3機 全機未帰還。


1番機

バイドに汚染された兵器工場から、サルベージした兵器データを持ち出す機体の撤退支援で、
敵バイド体を大量に引き付け回避不能になり撃墜される。

脱出したR-9AF モーニング・グローリーのガンカメラより確認。


2番機

セントラルボディを次元断層へ追い落とすため、フォースシュートするも機器に動作不良が発生。
フォースと共にセントラルボディに特攻。
セントラルボディと共に消失。

観測機R-9E ミッドナイトアイの遠距離観測データが戦闘の一部始終を観測。
その観測データより確認。


3番機

地球圏に生還するも、機器不調で大気圏突入に失敗。
大気圏内にて消失。

付近を哨戒任務中だったR-9E2 アウル・ライトの観測データより確認。



3番機に搭載されていたフライトレコーダ・及び戦闘データを大気圏内での回収に成功。
綿密な戦闘データを解析した結果、セントラルボディ撃破の確証を得る。

ターゲットの破壊を確認。


第3次バイドミッション完了



以上報告終了





・・・・・・・・・・・・・・・
あとがき

久々に書いてみました。
2年間書いていなかったので、キーボード打つ速度は1/2くらいになり、文書がなかなか纏らず、頭が回りません。

笑顔の動画サイトで、
バイドに汚染された電磁砲のOPを聞いていたり、プレー動画を見ていたら、
なんとなく思いついたものです。
Ⅲのスゥ・スラスター?さんをベースに、アレヤコレヤ付け加え、形にしてみました。
ココで切れば、幸せなEND…なんでしょうが、
まだ第4次バイドミッションが残っていると言う。


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