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2005-03-01

アクアブルー

聖蹟桜ヶ丘駅から川崎街道沿いを歩き、五分程の雑居ビルにあるバーレストラン。店内は殆ど真っ暗。テーブルにキャンドルが運ばれてくる。大きな水槽があり、沢山の熱帯魚が泳いでいる。食事はパスタとピッツアが最高に上手い。毎日深夜二時頃まで営業しており、金曜日は四時頃まで営業しているのがうれしい。大人の行くバーです。みなさんももし良かったら
どうですか、ただお値段はそれなりに覚悟しておいて下さい。

shiroyagiさんの投稿 - 06:05:29 - 0 コメント - トラックバック(0)

新婚

健二は家に帰りたくなかった。結婚にして半年。一見見ただけでは仲のいい夫婦。でも健二はその生活が苦痛だった。何がと問われれば、全てがと答えるしかなかった。生活には何にも不満がなかったが何事も楽しめなかった。休日が怖かった。妻の美佐と二人で時間を過ごさなくてならないからだ。健二は週末の二日間がとてつもなく長い時間のように感じられた。何か用事を見つけては家を出て、パチンコ屋に入りびたっていた。友達や会社の同僚は健二をうらやましがった。健二の妻は美しかった。料理も家事も完璧にこなした。今まで働いていた中堅出版社もあっさり寿退社した。会社側は美佐を会社に引き止めようと、条件を色々出したが美佐の辞意の決意は固かった。会社側は折れた。ただもし美佐が会社に戻りたいと思った時は、今までの待遇で雇用しようと、会社としては最高の意思を見せた。常務の高田が美佐の事を強く買っていたのも理由の一つだろう。兎に角美佐は結婚式の一週間前で仕事を止めた。引き継ぎは完璧だった。顧客のデータから今後の部署の事業展開まで、パソコンで作り上げた資料を、上司に渡した。つくづくもったいない。そう思った上司は、思い切って聞いてみた。なぜそこまで専業主婦に執着するのか。答えはシンプルに返ってきた。
「全ての生活を家庭中心に行いたいんです。私の両親は共稼ぎでした。だから私はいわゆるカギッ子で、毎日自分でマンションのドアを開けると、用意されたお菓子と夕ご飯を食べました。でもちっともおいしくなかったんです。私は今でも食事を美味しいと思ったことがありません。夫の健二に手作り料理を出していも不安で仕方ないんです」
高田は美佐の話を聞き終えると、自分も子どもにつらい思いをさせていることを思い出した。上司は美佐の言い分を承諾するともうこれ以上無理に会社にいて欲しいとは一言も言わなった。
結婚式が終わると、夫の健二が何かと理由をつけて、帰宅の時間を遅らせているのにクレバーな美佐が気が付かない訳がなかった。美佐は物事をはっきりさせなければいられない性格だった。ある晩、健二に真顔で言った。
「なんで最近帰宅が遅いの?」
用意されたかのように、仕事の接待でねと常套句が返ってきた。美佐は信じなかった。もう一度尋ねた。健二はうんざりした様子で、冷蔵庫からビール缶を取り出し、プルトップを空け、三分の一程飲み干した。息を付くと、健二はパンドラの箱を開けるように言った。
「お前といると息苦しいんだ。家事も完璧にするし文句は一つもない。でも」
自嘲気味に言った。
「劣等感なんだ。君は俺のために仕事を辞めた。俺と年収は同じ位だったのに」
唇を噛んだ。
「それでいいのか」
初めて健二は美佐に本音を吐いた。美佐は健二の横に座ると、
「私、家でご主人様を待っているのが夢だったの。それは本当に嘘じゃない。私言ったでしょ。両親が共働きで寂しかった話。お腹の中の子にはそんな思いはさせたくない」
健二の目を見て言った。健二は、
「できたのか?」
目を丸くした。
「昨日、産婦人科で診てもらった。三ヶ月だって」
「本当かよ。やったあ、俺の子だ。美佐ありがとう。本当にありがとう」
「私の夢知ってた?お嫁さんなんだよ」
美佐は健二の肩に体をもたれかけ、結婚以来初めて安堵を感じていた。
二人は今までの苦悩が何だったかのように、幸せに暮らした。
今では長男の幸喜は三歳だ。
僕のところに三人が笑った写真の入った年賀状が届いたのは先日のことだった。

shiroyagiさんの投稿 - 05:27:51 - 0 コメント - トラックバック(0)

2005-02-28

満員電車

電車が駅に着くまで、あと十五分あった。その電車にはある閉所恐怖症の男が乗っていた。男の年齢は二十三才。職業は営業のサラリーマンだ。電車は朝の通勤ラッシュで、人と人とが食い込むように、車内にすし詰め状態になっていた。男は額から汗を流していた。暑いからではない。車内にいることが耐えられなくて、冷や汗が垂れてきたのだ。男は息が苦しくなってきた。幸い身長が183センチあったので他の乗客の頭に顔を埋めることはなかったが、他の乗客の頭を見下ろしながら、呼吸が荒くなるのを止めることができなかった。目を閉じて口の中で般若心経を唱える。観自在菩薩・・・。最後まで、何度も経を唱えた。呼吸は次第に落ち着いてきて汗もひいていたが、やはりこの車内の圧迫した空気にはどうしても耐えられなかった。気持ちがどうにも保てなく、男はわあーと叫びたくなる衝動をなんとか残った理性で抑えていた。
男は右隣に若い女が立っている事に気が付いた。いい女だ。男は顔を見るなり思った。男は横目で女の顔を鼻筋から眉、瞼が二重であること、下唇が少し荒れていること、首筋の静脈がうっすらと色気を醸し出していることを視ていた。電車は駅に着いた。男は初めて朝の電車で苦痛を味あわなかった。男は考えた。あの女明日もこの車両に乗ってくるだろうか。もし乗って来なかったら他の女でもいい、目で犯してやる。男はにやりと笑い、駅の改札を出た。

shiroyagiさんの投稿 - 23:30:25 - 0 コメント - トラックバック(0)

竹の家

八王子の放射線通り、長崎屋の向かいにあるラーメン屋です。味は昔ながらの醤油ラーメン。最近ブームの豚骨スープに飽きた時やさっぱりしたラーメンが食べたい時にはお勧めです。一度食べると二度食べたくなります。

shiroyagiさんの投稿 - 22:11:03 - 0 コメント - トラックバック(0)

大学セミナーハウス

野猿峠バス停で降りて徒歩五分のところにある、学生がゼミやシンポジウムで使う食堂・宿泊施設付きの施設で、建物がケーキの形をしています。
敷地は広く武蔵野の原生林が一部残っています。そのためカブトムシやクワガタムシが生息しており、shiroyagiは幼少時、カブトムシやクワガタムシを取りました。ミヤマクワガタをとったこともあります。朝早起きして、学校の放課後。学生時代は、施設のテニスコートで、無断でよくテニスをしました。またコートでインラインスケートもしました。敷地の端に、昔栗林があり、栗狩りに行ったこともありますが、今はあるかどうか分かりません。一般の人でも入れるので気軽に散歩コースにできます。しかし子どもの頃は、管理人さんに何度無断で入るなと叱られたか分かりません。捕まえた虫を取り上げられた事もあります。でもそれも今ではいい思い出です。ちなみにゴレンジャーの撮影で使われたこともあります。

shiroyagiさんの投稿 - 22:03:18 - 0 コメント - トラックバック(0)
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