ハンガリーとポルトガル、ジャンクにまで落ち込み 日本は格下げを検討

2011年11月25日 Saidani

翻訳:mkaga

ハングリーとポルトガルの金融格付けは、ジャンクな地位まで下がってしまった。日本のEFSF(欧州金融安定化ファンド)への「投資」を怪訝に思う人みんなの背筋をぞっとさせるし、S&Pが日本の負債の格下げを警告しているというニュースは、日本国債を持つ事が本当に良い考えかどうか悩ませる。

ハンガリー

ハンガリーに「緊縮財政」目標を達成できるか、外部からの衝撃-国外の投資家に非常に依存しているため-に耐えられるかどうか、という不確かさから、ムーディーズはハンガリーをジャンクBa1(消極的な展望を伴う)に格下げした。

ムーディーズの発表を要約

格下げと消極的観測の主な要因を以下に挙げる。

1.中期的な財政強化目標と公的部門の赤字削減目標を達成する能力に対する疑問が浮上。特に、非常に不自然な中期的成長予測。

2.国外市場の不安定さが高い時期に突入し、政府の赤字の多さ、国外投資家への依存度の高さ、資金調達ニーズの膨大さなどから発生するイベントリスクに対する疑念が増している。

ムーディーズはこれらの要素が複合的に、政府の財政強化に不利な衝撃を与え、その衝撃吸収力を蝕むだろうと考えている。同社はハンガリーの格付けに置いて消極的な見通しを維持する決定を下した。これは、同国が欧州国家債務危機によってこれから起こりうるイベントリスクに耐えられるかどうか、疑問視されているためだ。

ムーディーズは、ハンガリー共和国が国営銀行債の支払いに法的責任があるとして、ハンガリー国営銀行の外国債の格付けを、Baa3から1段階下げてBa1とした。

10年もの国債は現在9%だが、ひと株あたり薄価はイタリアより190多いだけで、2009年9月から2011年9月までのハンガリー10年債の平均が7.2%-イタリア国債とほぼ同じ-だったことを思えば皮肉なことだ。

ポルトガル

フィッチ・レーティングはポルトガルの金融格付けを、ジャンクにまで落とした。負債の増加と経済的展望がますます弱まっているためだ。長期的な格付けは、消極的な見通しのためにBBBからBB+に格下げされたと、フィッチ・レーティングがEメールで発表した。ポルトガルの10年債はこの発表の後に下落し、リスボンの午後1時09分に12.14%となった。

フィッチ・レーティングに寄れば、「ポルトガル財政のアンバランスさは大きく、全ての部門で負債額が大きい。また、マクロ経済学的な予測に反しているということは、この国債はもはや投資的な格付けに一致しないことを意味する。電力会社Energias de Portugal(EDP)の格付けはSA、通信会社Portugal TelecomはSGPSであり、SA(PTC)は影響を受けない」という。

日本

スタンダード&プアーズ は、日本の 野田佳彦首相の政権は、公的負債問題をなにも進展させておらず、国債の格下げも考えられると発表した。

実際、野田総理は支出を減らす以外のことばかりしている。円高に泣き言を言う企業の救済はしても、アメリカのドル安政策に対抗することは拒んでいる。世界中で支援金を払っているし、欧州救済(EU全体が関わってくれば、まったく無駄になるが)や、アメリカ主導のTPP自由貿易協定に参加するための助成金もある。

「日本の財政は毎日、毎秒、悪くなっている。」 と言うのは、シンガポールのスタンダード&プアーズ国債格付け担当ディレクターの小川隆平氏だ。インタビューに答えて語った。それは日本切りが近いと言うことか、という質問に対しては、「おそらく、格下げが近いという意味では正しいだろう。しかし、悪化はこれまでのところ緩やかで、今日明日、というわけではない。」

スタンダード&プアーズの格付けAAは、野田総理にとっては後退といえる。9月に首相になり、 日本の財政安定化と3月の歴史的大地震からの復興の両方を約束したからだ。小川氏は、日本が財政状況をコントロール出来ない限り、他国も巻き込もうという負債の悲哀から逃れられるという考えは非現実的なままだと話す。

日本の国債が急に上昇したら、ギリシャやイタリアと同枠になる・・・でなければさらに悪くなる、と警告したIMFからも最新情報がある。

IMFは、日本に対して3月の地震以降に公的な支出が増えていることに関し、警告を発した。

もし日本が「この地域での明るい材料」であり続けるのなら、赤字額を過去に例のないレベルまで押し上げようとしている追加支出を取り下げることで財政状況を和らげる必要がある。

日本の公的負債率は今、GDPの220%だ。先進国の中で最も高い。

IMFのレポートに寄れば、「GDPの成長率は低く、今年は-0.7%に止まり、来年2012年に2.9%まであがるだろう」と予測。

さらに、「財政状況を改善することは、他国に対して貯金という財源を解放し、貸し付けたり日本国債の格下げによるリスクを軽減できるだろう」と同リポートは続ける。

日本は世界でも税収の少ない国だ。IMFは消費税を2~3%上げて8%ほどにすることで、地震からの復興費用を捻出するよう勧めている。そして、これは将来的に15%まで上がる。

今の政府の提案では、消費税は2010年代半ばまでに10%まで上がるという。

だが、野田総理は増税を持ち出した一方で、支出削減にはまったく触れていない。税金は政治的に好まれないが、彼らは押し通すだろう。支出の削減は別の問題で、政府は、沢山の強力な産業や官僚機構なども含む日本の大半が政府資金に頼るようにしてきてしまった。彼らは日本の一般の納税者よりも政治家に影響力がある。

もちろん、本当の市場の力-日銀や財務省の人工的な奴ではなく-が、最終的には日本の運命を決める。個人投資家は、特に日本債の利回りを続けていけないほど低く抑えている人たちは、そろそろ資産を守るために動くべき時かも知れない。

 

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