リハビリ体験記 6.手術そして指は動くのか
9.手術
1月31日、穿頭手術に先だって、右側大腿の付け根で動脈の触れるところを局所麻酔し、動脈内に細い管(カテーテル)を挿入されました。
レントゲン透視により、カテーテルを脳に向かう頭蓋内動脈まで進めたのだそうです。
目的の部位まで進め、カテーテルから造影剤を注入し、レントゲン撮影をして血管を写し出し、血管の状態を調べたようです。
2月4日に手術しました。
手術室に運ばれて暫くすると激痛で目が覚めました。
頭を局所麻酔したようです。
後頭部を剣山で何度も叩かれたような痛みですが、次第に意識がなくなりました。
そして、出血部近くの頭蓋に小さな孔を開けて、その孔から細い管で出血した血液だけを吸い取る「定位的血腫除去」という手術が行われたのです。
血腫を吸引除去する手術は無事終了しました。
しかし、麻酔が取れても意識は朦朧としていた。
翌日の夜、寒くて目を覚ますとベッドから床に落ちて、動けずにいました。
「だれかナースを」と叫んでいました。
暫くするとナースが見回りに来て、ベッドにいる私に懐中電灯を向けて言いました。
「マサおじさん! どうしました?」
「寒いですか 湯たんぽを持ってきますから少し待ってくださいね」
床に落ちて、そのまま寝ていたと夢を見ていたのです。
翌朝、目を覚ますと何となく昨日までと気分が違います。
『気分が良いのは手術が成功したからかな』
『それにしても抜糸まで10日程かかるらしいが、リハビリはどうなるのだろう』
『発症から20日も過ぎたのに、手も足も殆ど動かない』
10.手の指が動く?
2月8日、見舞いに来た娘が、ベッドに脚を伸して座っている私の手を握って言いました。
「どうか動きますように」
帰ったあと、麻痺の左手を右手で掴んで膝の上に置き、右手を左手と揃えて上向きで並べました。
両手を見つめながら思いました。
『左手はどうして動かんのだろう』
右手をゆっくり握りながら、左手を同じように握るつもりで動かそうとしました。
当然動きません。
『何度も練習すれば動くかもしれない』
『どうせ暇やし、ダメで元々』
何度も試しました。
数日すると、指先がホンの少し動く気がしました。
娘や妻が来院したとき、自慢げに言いました。
「見て、指が少し動く」
「ほんとに動いたね。すぐ握れるようになるね」
実は、殆ど動いていないのです。
でも、私は微かに動くように感じるのです。
動くようになる前兆のように感じました。
午後の訓練が終わって、セラピストと一緒に車いすで病室に帰る途中、言いました。
「早く会社に戻らんと、会社が大変なことになります」。
「まず、基礎訓練を身につけないと、どうにもなりませんね」。
「焦らないで、ゆっくりと正確に訓練しましょう」。
「ただ、やりたいことは、出来るだけ自分でやってみることです」。
「そして、一人で出来そうなことは介助無しでやってみてください」。
「方法が分からなければ何時でも聞いてくださいね」。
と言うことで、自主トレの必要を感じ、先ずは車椅子の運転を一人で訓練し始めることにしました。
続く
リハビリ体験記 7.車いすの運転