消費増税、渦巻く反対論 首相と党執行部に深い溝

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消費増税をめぐる首相発言

 消費増税をめぐって年内に何を決めるのか。野田佳彦首相は財政再建にこだわり、増税の「時期」と「税率」をはっきり決めたい考えだ。だが、民主党内には反対論が渦巻いており、党執行部は時期や税率をあいまいにして混乱を回避する道を探っている。

■野田首相「絶対やる」

 「現下の金融不安の最大要因は、ギリシャに端を発する欧州諸国の政府債務問題だ。財政健全化は市場の信認を得るうえで逃げることのできない課題だ」。首相は25日の参院本会議で消費増税への決意を語った。

 「市場の信認」を強調するのは、欧州危機が「対岸の火事」ではないと思うからだ。日本より財政状態がいいドイツの国債の入札が不調に終わり、25日は朝から日本国債も売られた。長期金利の代表的指標である10年物国債の流通利回りは、約1カ月ぶりに1%台をつけた。

 首相は11月上旬の主要20カ国・地域(G20)首脳会議で「2010年代半ばまでに段階的に消費税率を10%まで引き上げる」と表明し、消費増税を国際公約した。国債発行額を44兆円以内に抑える公約を守るため将来の消費増税分で返済する「年金債」の発行も検討しはじめた。

 首相にとって、消費税をいつから何%引き上げるかを鮮明にした「大綱」を年内にとりまとめたうえ、来年3月末までに「時期」と「税率」を明記した「消費増税法案」を国会に提出するという日程は譲れない。一歩でも後退すれば、「日本売り」を浴びせられかねないと心配するからだ。

 首相は環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加問題で党側に妥協し、あいまいな表現を使ったことを反省し、周囲に「消費税は絶対にやる」と繰り返しているという。

■閣僚からも先送り論

 だが、首相の危機感は民主党側に伝わらない。

 樽床伸二幹事長代行は25日の記者会見で「政府の考え方を尊重するが、党の結束と両立しないといけない」と予防線を張った。党内には増税反対論が広がっており、22日には小沢一郎元代表も「年内決着を強行すれば政権運営が不安定になり、党運営も厳しくなる」と首相を牽制(けんせい)した。

 民主党内では年内にまとめる大綱に消費増税の実施時期を明記せず、党内対立を回避する案が浮上している。この場合、来年3月末までに提出する法案も実施時期をぼやかした「消費増税準備法案」にとどまることになる。

 18日には小沢氏に近い輿石東幹事長が藤村修官房長官を呼び、首相に再考を促すよう伝えたという。藤村氏は25日の記者会見で、消費増税の時期を明記した大綱を年末に取りまとめるか問われ、「党税調の議論を経てからだ。決めつけるわけにいかない」と言葉を濁した。

 閣僚からも年内決着にこだわらない発言が出始めている。安住淳財務相は22日の会見で「国会が風雲急を告げてくると、年内といかなくなる事情もある」。一体改革を担当する古川元久国家戦略相も25日、「年内にここまで決まっていなければいけない、というものが具体的にあるわけではない」と述べた。

 首相は「法案成立後・増税実施前」に衆院解散・総選挙を行うと表明しているが、来年3月までに提出するのが消費増税準備法案にとどまれば、ねじれ国会で野党の協力で成立したとしても、実際に消費増税を実施するには別途、法律を成立させる必要がある。解散・総選挙の時期もからみ、財政再建の道筋はますます不透明になる。

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