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ドイツ国債の入札、大幅札割れ


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 【フランクフルト】ドイツ政府が23日実施した10年物国債の入札は札割れとなり、ユーロ導入以降で最も低調な結果に終わった。欧州の債務危機が悪化するなか、ユーロ圏で最も安全とされる資産でさえ投資家からの需要が減少していることが示された形だ。

Reuters

ドイツのメルケル首相

 募集額60億ユーロ(約6200億円)に対して、応札額は36億4400万ユーロにとどまった。平均落札利回りは1.98%。

 ドイツ国債購入を手控える動きは、2年におよぶ債務危機が拡大するのではないかという懸念を反映したものだろう。投資家はここ数週間、リスクの高いスペインとイタリアの国債から逃避し、ドイツ債を流通市場で買いあさってきた。その結果、ドイツ債の利回りはここ数日2%を割り込んでいた。

  しかし、23日の入札が不調に終わったことに投資家が動揺し、ドイツ債の利回りは2%を上回るまでに上昇した(価格は下落)。

 入札不調からは、リターンの小さい新発債に投資家が興味を示さなかったことがうかがえる。2%という利率は同国の60年の歴史で最低だ。

 また、今回の札割れには、債務危機の解決に向けてユーロ共同債の採用をドイツが最終的に受け入れざるを得なくなるのではないかという懸念が反映されている可能性もある。

 ドイツ政府はユーロ共同債の導入を一貫して拒否してきた。この発行により、他のユーロ加盟国のデフォルト(債務不履行)リスクの共有を強いられ、自国の借り入れコストが上昇するためだ。しかし、ユーロ圏の解体を防ぐためにドイツに残された道は共同債の発行以外ないかもしれない、というのが多くの観測筋の見方だ。

 ダンスク・マーケットのチーフ・アナリスト、イェンス・ペテル・ソレンセン氏は、「入札結果は、ドイツ債に対してではなく、むしろユーロのプロジェクトに対する深い不信感を反映したもの」と指摘した。

 入札担当当局の広報官は今回の入札不調について、市場の不安感を反映したものである一方、借り換えに支障をきたすことはないとの見解を示した。

 ユーロ圏の国債への信頼が揺らぐなか、欧州中央銀行(ECB)は23日、イタリアとスペインの国債を購入するなど、再び域内の国債市場の支援に動いた。

 一方、仏・ベルギー系大手銀デクシアの救済計画で、ベルギー政府は合意済みの救済負担コストを拠出することができないとの報道が流れ、域内での緊張感が増した。デクシア問題はフランス政府の足元でリスクが増加していることの表れであり、同国のトリプルA格付けへの脅威がまた一つ増えた格好だ。

 フランスの10年物国債の利回りは0.11%ポイント上昇し3.63%、ベルギーの10年物は0.08%ポイント上昇し5.12%となった。

 一方、投資家は米国債に逃避し、この日入札が行われた7年債と5年債の利回りは史上最低となった。

 国債市場に対するECBの支援効果の大半はドイツ債入札の不調で帳消しにされ、債務危機がついにドイツにまで広がったのではないかと投資家の懸念を呼び起こした。

 バンク・オブ・ニューヨーク・メロンのサイモン・デリック氏は「(債務危機が)とうとう欧州の中心にまで及んできた」と指摘し、「ドイツは過去25年間、自国のソブリン債市場で高い信用を築きあげてきた。ギリシャ問題でそれを失墜させるわけにはいかないだろう。ギリシャはユーロのルールに従うか、でなければユーロ離脱を迫られるだろう」と語った。

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