東京電力福島第一原子力発電所の事故で放出された放射性セシウムは、奥羽山脈や越後山脈など、山脈の地形に沿う形で地表に降り積もっていることが、文部科学省が行った航空機モニタリングの調査から分かりました。
事故で放出された放射性セシウムは、長期にわたって環境に影響を及ぼすことから、文部科学省が汚染状況をヘリコプターを使って上空から調べています。これまでに青森県から愛知県にかけての22の都県の汚染状況を色分けした地図がまとまり、文部科学省が公表しました。それによりますと、福島第一原発から北西方向と一部南側に放射性セシウムの濃度が極めて高い1平方メートル当たり100万ベクレルを超える赤や黄色の地域が広がり、その広がりの外側に、北側は福島と宮城の県境まで、西側から南側は福島から栃木、群馬にかけて帯状に1平方メートル当たり3万ベクレルを超える高い濃度の青色の地域が伸びていました。これを地形との関係で見ると、奥羽山脈や越後山脈など山脈に沿って放射性セシウムが地表に降り積もっており、北西方向に広がったルートでは、放射性物質を含む雲が奥羽山脈に当たったあと、風向きの変化とともに群馬と長野の県境にある関東山地まで山沿いに流れていったとみられます。文部科学省は「山脈で遮られた影響で、放射性セシウムの広がりは一定の範囲にとどまった可能性がある」として、年明け以降、西日本や北海道についても調査を行い、汚染状況の全体像を把握するとともに、今後、除染対策や被ばく評価などに生かすことにしています。