白鵬、全勝街道まっしぐら

（２４日・福岡国際センター）

　単独トップの白鵬（２６）＝宮城野＝は、琴奨菊（２７）＝佐渡ケ嶽＝を小手投げで下して無傷の１２連勝。２敗力士が消え、白鵬は１３日目に琴欧洲に勝てば２場所連続２１度目の優勝が決まる。琴奨菊は３連敗。大関候補の稀勢の里（２５）＝鳴戸＝は、臥牙丸に攻め込まれたが逆転の上手投げで９勝目。

　新大関への声援をものともせず、白鵬は右からの小手投げで琴奨菊を転がした。「（相手は）新大関だし、地元だし、声援が大きかったし。そこに飲まれないようにやろうと思って取った」。無人の荒野を突っ走るように初日から白星街道まっしぐら。きょう１３日目に琴欧洲を下せば、千秋楽を待たずして２１回目の優勝が決まる。

　「それは誰にも分かりませんよ。きょうはきょう、あすはあすの風が吹けばいいんじゃない」とけむに巻くのも「場所前からそういう（全勝優勝するという）気持ちで臨んでいる。それが目の前にきている」。優勝して当たり前、と言わんばかり。そして実際、３差をつけてのトップ。史上最多となる９回目の全勝Ｖをとらえている。

　場所後の１２月４日に双葉山生誕１００年記念イベントとして、大分県宇佐市の国宝・宇佐神宮で双葉山以来、７３年ぶりとなる横綱土俵入りを披露する。尊敬する双葉山への思いを込めて本来の不知火型ではなく雲竜型で行う。雲竜型と不知火型の両方で横綱土俵入りするのは４４年前に巡業地で披露した北の富士以来。不知火型と雲竜型では綱の長さが違うが、古い綱を東京から送ってもらい切って調節。綱締めには元横綱朝青龍関が所属していた高砂部屋の若い力士が担当するという。

　入場者数の低迷にあえぎ、８人の休場者を出した場所の締めくくりはもうすぐ。横綱は「けがをしないのは双葉山関と同じ。けがをする前に負けるから」とその神髄を語るが、けがも黒星もなく千秋楽を迎えることになるだろう。「勝つと思うな、思えば負けよ。思い切って無心でやる」。尊敬する双葉山へささげる全勝優勝まであと３つ。（岸本隆）