歴代ランクル賞の小川(左)、玉田(中)とともに笑顔のケネディ=愛知県豊田市のトヨタスポーツセンターで(木本邦彦撮影)
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感謝の気持ちは勝利で示す−。第17回グランパス・ランクル賞の最優秀選手賞に選ばれた名古屋グランパスのFWジョシュア・ケネディ(29)と敢闘賞を受賞したDF増川隆洋(32)が残り2試合に全力を尽くす決意を明かした。首位の柏に勝ち点3差の2位につけるチームは23日、愛知県豊田市のトヨタスポーツセンターで練習し、山形戦(26日・豊田)に備えた。
2年連続得点王を目前にしたケネディに、一足早くビッグなプレゼントが届いた。
得意のジョークで、ランクル賞最優秀選手賞受賞の喜びを表現した。2試合を残して、昨年を1点上回る18得点。誰もが頼りにするストライカーとして認められた。
「全体的に順調なシーズンだった。首尾一貫して取り組み、プレーできたと思う」と振り返る今季。春先は調子が上がらなかった。開幕戦でPKを決めた後、序盤6試合は故障もあって3試合しかプレーできず、グランパスも1勝2敗3分けと低迷した。
「スロースタートになったけど1週間、2週間と焦らずにしっかり調整できた」
復帰してゴールラッシュが始まるとグランパスも快進撃。ケネディが最も印象に残るゴールは8月24日の川崎戦。同点ゴールを演出した後、藤本のクロスに豪快なヘッドで逆転ゴールをたたき込んだ。
前節の仙台戦で不覚を取り、16戦連続無敗でストップ。川崎にも先制される苦しい展開で、優勝争いに踏みとどまる貴重なゴールだった。
東日本大震災というショッキングな出来事にも、ケネディは日本でプレーを続けることに不安はなかったという。クラブの活動停止中に、オーストラリアに帰国したものの「クラブと密に連絡を取って、日本の安全な状況を確認できた。家族もそうだけど、日本人と同じように心配していなかった」と、振り返る。5月には夫人が日本で長男を出産し、ケネディも立ち会った。快適な暮らしは昨年までと変わらなかった。
逆転優勝と目標の20ゴールへ、残り2試合。「次の試合のことしか考えていない。最後のホームゲームに自分たちの力を見せたい」。圧倒的な支持を受けたサポーターへの感謝を、ピッチから届ける。 (木本邦彦)
◆敢闘賞・増川「やってきたことの証し」
試合では最終ラインにどっしりと構える増川が、練習ではセンターバックの相棒、闘莉王ばりの攻撃スタイルを前面に押し出す。この日のミニゲームでもコースが空くと右足でズドン。左サイドを攻め上がり、逆サイドからのクロスに左足でシュートを決めた。
昨年はJリーグのベストイレブンに選出されたが、ランクル賞には縁がなかった。昨季はJ1の32試合に出場。今季もここまで、左太もも裏の肉離れで5月21日の柏戦を欠場したが、31試合に出場している。7月23日の広島戦(瑞穂陸)ではJリーグ5クラブ目の通算1000ゴール達成という派手な活躍も見せた。
記録に名前を残す機会も増えた増川は「周りのおかげ」と控えめだ。しかしDFラインとチーム全体のバランスを取る役割を果たしてきた。「選んでもらえてうれしい。自分がやってきたことの証しだと思う。今後も自分のプレーを続けたい」と喜んだ。
昨季、ランクル賞を受けた闘莉王は「最高の相棒」と称賛する。増川も相棒との相乗効果でレベルアップしている実感がある。「昨年、闘莉王が移籍してきてからチームも良くなり個人としての良さが際立つようになった。お互い刺激をし合っていいプレーができている。だからこそチームもこの順位にいる」と、手応えを得ている。
今季最後の主催試合はJ2降格が決まり、前節で最下位に転落した山形が相手。「そこで負けてしまうようなら優勝するチームじゃないということ。そうではないことを証明したい」。3試合を残して優勝を決めた昨季と違い、今年は首位の柏を勝ち点3差で追う展開。増川は逆転優勝を成し遂げるため、縁の下の力持ちとしてチームを支え続ける。 (伊東朋子)
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