野田佳彦首相が環太平洋連携協定(TPP)への交渉参加方針を表明したにもかかわらず、国民の間に広がった不安を解消するような本質的な議論が深まっていない。むしろ混迷が深まっていると指摘せざるを得ない状況にある。
交渉参加方針を伝えた日米首脳会談の首相発言をめぐり、日本が訂正を求めたにもかかわらず、米側が応じていない状況は、あらためて日本の外交力に対する国民の不信感を強めていることを政府は深刻に受け止めるべきだ。そのことがTPP交渉の先行きへの不透明感を増幅させ、賛否の対立を先鋭化させることにほかならないからだ。
米側は、首相が「全ての物品やサービスを貿易自由化交渉のテーブルに乗せる」と述べたと発表したが、いまだ訂正に応じていない。にもかかわらず藤村修官房長官は「外交上の問題でいろんなニュアンスもある」と消極的に過ぎる。弱腰そのもので外交センスを疑う。
繰り返しの指摘になるが、政府は交渉の状況をはじめ、参加した場合のメリット、デメリットなど具体的な影響について、国民に対して今なお説明していない。首相をはじめ政府関係者は、正確な情報開示と説明責任を徹底すべきだ。
県内41市町村長を対象にした本紙アンケートでは、37人がTPPに反対し、賛成や条件付き賛成は皆無だった。特に政府の対応については、33人が「説明不足だ」、6人が「あまり説明していない」と、国民的な議論が不足していることへの批判の声が上がった。
県内の経済関係者へのインタビューでも「国の仕組みを大きく変えるのに、国からの方針説明や情報提供がない」(照屋義実県建設業協会長)などの指摘が相次いだ。国の将来ビジョンをはじめ地域経済や県民生活への影響について一向に説明しない政府に対し、不信感を募らせているのが実情だ。
22日には県内のサトウキビ生産者やJA関係者ら約1千人が結集し、TPP交渉参加阻止をあらためて訴えた。離島からの参加者も多く、基幹産業の衰退で島の存続を危惧する意見が表明された。置き去りにされていることへの強い反発でもある。
交渉の内容や参加後の影響が正確に把握できなければ、具体的な対策を講じることが難しいのは自明だ。国民の冷静な議論を妨げているのは、首相をはじめ政府自身であることを強く自覚すべきだ。
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