懇談会には野田首相が出席し、交渉参加方針について、初めて党内に説明する場となった。懇談会は紛糾せず、党執行部はこれで交渉参加方針を巡る党内調整が一区切りついたとみている。ただ、慎重派は矛を収めたわけではなく、国の針路にかかわる重要政策で一枚岩になりきれない党の体質も改めて浮き彫りになった。
懇談会は報道陣に非公開で行われた。出席者によると、首相は「これから交渉参加に向けて関係国との協議に本格的に入っていく。
党内、国民の間で十分な議論を経たうえで、最終的にはあくまで国益の視点に立って(交渉参加の)結論を得る」と強調した。
ハワイの日米首脳会談でのTPP関係の自らの発言については、〈1〉交渉参加に向けて関係国との協議に入る〈2〉昨年11月に閣議決定した基本方針に基づいて高いレベルでの経済連携を目指す――の2点だったとし、「これ以上でも以下でもない」と説明した。
これに対し、12人が発言を求め、全員が交渉参加方針に批判や注文を突きつけた。交渉参加を全面支持する意見は出なかったが、慎重派を刺激し、懇談会が紛糾することを避けるに、推進派が発言を抑制したとの見方が出ている。
懇談会で特に多かった発言は、日米首脳会談で、米政府が「野田首相は『すべての物品とサービスを交渉のテーブルに載せる』と発言した」と発表し、日本政府が否定した問題だ。