そうなったとき、もし政権が一党独裁維持の視点から金融資本の政治的主張を封じ込める行動に出ればそれが結局権力と資本との対立構造を作り出してしまい、場合によっては正真正銘の革命の発生を招くかもしれない。逆に政権がそれを恐れてどこまでも金融資本との妥協をはかっていくのであれば、それはまた独自の意思を持つ民間勢力のますますの強大化と独走を許してしまうことになる。
いずれの場合も、金融資本の成立は確実に、中国共産党の絶対的支配体制の終焉(しゅうえん)を意味する革命的変化を起こすものとなる。今年の11月をもって、金融領域から発した「中国革命」がすでにスタートを切った、といえるであろう。
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【プロフィル】石平
せき・へい 1962年中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。