当局の絶対的支配の終焉か… 「中国金融革命」が始まった (1/3ページ)

2011.11.24 13:19

中国経済の発展を象徴する広東省深セン市の金融街。「民間金融」による革命が始まろうとしている(長谷川周人撮影)

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 【石平のChina Watch】

 今月10日、新華社通信がある重大な意味を持つニュースを配信した。中国人民銀行(中央銀行)の責任者が新華社からの取材を受ける中で、今や話題となっている「民間金融」のことを取り上げ、その「合法性」と「正規金融への補助的役割」を認めた上で、中央銀行として民間金融の存在と活動を容認する姿勢を示したのである。

 「社会主義国家」の中央銀行が、「あしき資本主義の権化」とされてきた民間金融の合法性と存在意義を公認したのは、中華人民共和国始まって以来、初めてのことであろう。

 こうなった背景には去年秋以来、政府がインフレ抑制のために実施してきた金融引き締め政策がある。引き締めの中で、全国の中小企業が融資難から生じた経営難に陥っており、中小企業を対象に高金利融資(高利貸)を行う民間金融が雨後のタケノコのごとく成長して中国の金融市場を席巻する勢いとなっている。

 それに対し、何らかの対策を迫られているのが政府の方である。中国経済の6割を支えている中小企業が民間金融に頼り切っている現状からすれば、今さら「高利貸」を一掃するような荒業を政府ができるわけもない。結局政府は、民間金融の活動に一定の制限を加えながらもその存在自体を公認せざるをえなかった。その結果、今まで「地下金融」と呼ばれてきた民間金融が一挙に市民権を手に入れ、表舞台に堂々と登場し、わが世の春を迎えようとしているのである。

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