2011年11月24日22時30分
東日本大震災を受けて、政府の地震調査研究推進本部(地震本部)は24日、三陸沖から房総沖で起きる恐れがある地震の発生確率を見直した結果を公表した。将来起きる地震の予測として初めてマグニチュード(M)9を想定。三陸沖北部から房総沖の日本海溝寄りで、今後30年以内にM9クラスの地震が30%の確率で起きると予測した。
地震本部は、東日本大震災の発生を想定できなかったことから、将来起きる地震の規模や発生確率の評価手法、発表の方法について見直しを進めている。
見直しでは、東日本大震災を起こした部分の多くはエネルギーを解放したとして、三陸沖から茨城県沖までが連動するような今回と同タイプの地震の再来は、30年以内の発生確率を0%とした。しかし、今回の震源域外の三陸沖北部や、震源域の中心から外れた福島県沖以南では、エネルギーをすべて解放したか不明として、予測し直した。
1611年の三陸沖、1677年の房総沖、1896年の明治三陸沖地震など大きな津波被害を出す地震が起きていたことを踏まえ、津波から地震規模を推定する方法で予測。M8.6〜9の地震が起きる可能性があると判断、この海域の大地震の履歴を統計的に解析して、今後30年の発生確率は30%と推定した。
三陸沖北部はM7.1〜7.6の地震が30年以内に90%程度、宮城県沖はM7〜7.3の地震が30年以内に60%、福島県沖はM7.4前後が10%程度、茨城県沖はM6.7〜7.2が90%程度の確率で起きると予測した。
東日本大震災後の震源域の周辺では、大きな地殻変動が起こり、余震が続いているが、今回の評価に余震は入っていない。余震を含めると、短期的にはM7級の地震は、今回の評価より高い確率で発生する可能性もあるという。
地震本部は、東海地震が30年以内に87%の確率で起きると予測している東海から四国沖の南海トラフでの地震についても見直しを進めており、M9級が起きる可能性を盛り込む検討をしている。
ただ、今回の予測は現段階での知識や手法による暫定的な評価で、再び見直して予測が変わる可能性もある。(瀬川茂子)