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インディーズレーベル約200社がSpotify等から登録を解除 「ストリーミングで聞いている人は僕たちの音楽にお金を出してはくれない」

2011.11.25 10:00 [0] [0]

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無料/安価の裏にある落とし穴だと思います。

イギリスの音楽配給会社STHoldingsは複数のストリーミングスタイルの音楽サービスから、238社ものレーベルの登録解除を行いました。登録解除の理由はこれ以上無料(又はタダ同然の値段)で音楽を提供し続けることができないから。解除したレーベルの1つ曰く「音楽にはロイヤリティがいるんだ! Fuck Spotify。」とFワードまで出しています。


STHoldings曰く、リクエストを受けたレーベル238社を、Spotify・Rdio・Napster・Smifyの4つのサービスから登録解除したということです。中でも特にリクエストが多かったのがSpotify。STHoldingsは、ストリーミング音楽サービスは彼らのデジタル楽曲ビジネスにおいてカニバリズムのような存在であると言います。NARMが行ったリサーチを持ち出して、ストリーミングサービスで曲を聞いているユーザーが、CD又はデジタル楽曲の購入にいたるケースは稀だとして、音楽の売り上げに結びつかないと指摘します。

ストリーミングサービスが、売り上げに影響を与えているというのはわかります。しかし、STHoldingsが持ち出しているNARMのリサーチはユーザーがどのように音楽を買うかという広い話であり、特定のサービス名がでているわけではありません。リサーチからは、ストリーミングユーザーは楽曲を購入することが少ないという結果がでているものの、実際の売り上げの数字等の細かいデータを出しているわけでもありません。また、Spotifyの担当者がMusicAllyやネタ元のWiredの記事に対して話したように、このリサーチはSpotifyが大きく広まる前のリサーチでサービスの魅力が存分に結果にでていない、またストリーミング回数ごとの支払金額等、誤解を与える部分も多くあるとしています。

が、細かいリサーチのことは一端忘れましょう。サービスの売り上げへの貢献度や侵害度やそれに関する細かい数字は今は忘れましょう。そんなことを持ち出さなくても音楽業界に関して1つ確かなことがあるのです。それは、音楽好きの人!好きならサポートしなくちゃ好きな音楽を作っている人がやっていけなくなるんだよ!ということ。

STHodingsが数々のレーベルを登録解除したのは、サービスユーザーにとってそしてアーティストのファンにとっては残念なこと。しかし、STHoldingsは自分が楽曲配信するアーティスト達を育てて行くという使命があります。ニッチなエレクトロミュージックを配信するSTHoldings、その他にも各地方の強みを活かして存在する音楽レーベル、ニューヨークのバックパックやメンフィスのブルースやシアトルのロックを生み出す各レーベルは音楽を売って生計を建てて行かなくてはいけません。CDなりレコードなりデジタル楽曲なりを売って生活をたててこそ、また次の音楽を生み出すことができるのです。音楽を売ることで生き残る道を開くことができるのです。そうすると、Spotifyからの微々たる収入では手助けにならないのです。
(※デジタル楽曲でアーティストの手元にどれくらいお金が入っているかは、過去のこの記事を参考にどうぞ!)

STHodingsがいくらニッチな世界で生きているといっても、デジタル楽曲の世界で生き残っていかなくてはいけません。音楽を作るためには、お金と時間が必要です。音楽の作り手達(アーティスト・レーベルの人間等)が収入を得る手段がなければいけません、じゃないといつか現状の音楽業界のシステムは崩壊してしまいます。レーベルの人間、配信する人間だけの問題ではありません。システムが崩壊すれば、ワゴン車で全国巡業するようなこれからの作曲家作詞家そして歌い手達、あなたのひいきのローカルバンドも崩壊してしまうのです。

何百万のユーザーがいたとしても、Spotifyへの登録はレーベルにとってはある意味ギャンブルです。非常に少ない売り上げだが楽曲登録をすることで、世界中のより多くの人に聞いてもらいファンを増やすチャンスがあり、結果売り上げにもつながる。このSpotifyの謳い文句にレーベルはいつも懐疑的です。そして、結局は登録解除するという結果に。解除の理由はやはり、音楽を売るというビジネスが取り返しもつかないくらい打撃をうけてしまったからでしょう。

Spotifyの月額10ドルで膨大な楽曲リストの中からストリーミングで聞き放題というのは、音楽好きには非常に大きな魅力です。これとない良い話です。Spotifyは、ユーザーにとって素晴らしい仕組みのサービスを提供することで、また実際に音楽にお金を払うという行為をユーザーに納得させたという点で実に大きな注目を浴びました。しかし、音楽の作り手にとってはどうでしょうか。レーベルがSpotifyの登録を解除するという行動は、いかに作り手側に利益がでていないかがわかる結果なのではないでしょうか。

Spotifyはネタ元のWiredの記事に対して、1ストリームごとの売り上げで結果を見るのは全体のシステムを理解していないと反論しました。Spotifyで曲を流すことでどれだけ多くの人が聞く機会が増えるか、換金にどう関わってくるかも検討材料とすべきだと。が、しかしSpotify側も数字やデータを持ち出してくることがない以上、我々は判断することができません。それならば、200以上ものレーベルがSpotifyから手を引いたという事実の方が、音楽業界を見るうえではるかに強く現実的な判断材料だと言えます。

音楽の違法ダウンロードで傷つく音楽業界。が、しかし正当な方法で音楽を聞いても傷を追う音楽業界。合法な方法で音楽を聞いたとしても、レーベルやアーティストが収入を得ているとは限りません。彼らが収入を得る事ができなければ、生きて行く事ができなければ、それはいずれユーザーに戻って音楽好きの楽しみを奪っていくことになります。好きな音楽があるならば、好きなアーティストがいるならば、彼らに直接お金を使うことがきっと何よりもサポートになります。

今回のSTHoldingsの行動は、ストリーミング楽曲配信に対して初めて大きく反対にでた行動だと言っても過言ではありません。この戦いはきっと始まったばかり。これからどうなっていくのでしょうか。音楽システムは崩壊してしまうのでしょうか。


[STHoldings, NARM, Wire, Digital Music News, MusicAlly, and Wired]

そうこ(Mario Aguilar 米版

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