原発事故を受けて、再生可能エネルギー導入の必要性が高まるなか、資源量が豊富な地熱発電の利用を進めようと、環境省は、都道府県が、既存の温泉の保護を図りながら、事業者による開発を認めるための、ガイドラインの素案を公表しました。
地熱発電は、地下深くにある高温の蒸気の熱を取り出して発電するもので、火山の多い日本は世界第3位の資源量を保有しています。しかし、既存の温泉への悪影響を懸念する声もあって、事業者が地中を掘削するのを都道府県が認めるかどうかの統一的な基準がなく、新たな発電所は10年以上設置されていません。環境省は、原発事故を受けて、再生可能エネルギーの地熱発電への期待が高まっていることから、都道府県が開発を認めるためのガイドラインの素案を作り、24日の専門家による検討会に報告しました。素案では、発電を始める前の現地調査から、発電所の建設、運転の開始後など5つの段階で、温泉の水位や圧力、湧き出す量などを定期的にモニタリングすることで、温泉への影響がないか確認するとしています。また、自治体と温泉事業者、それに地熱発電事業者の三者による協議会などを作り、モニタリングの結果や開発の方針を共有することが重要だとしています。この素案は専門家の検討を経て、今年度中に都道府県に通知される見通しです。