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民主党:小沢元代表が政権批判強める 消費増税議論に向け

国会内であった議員連盟の会合に出席した民主党の小沢一郎元代表(中央)=2011年11月22日、葛西大博撮影
国会内であった議員連盟の会合に出席した民主党の小沢一郎元代表(中央)=2011年11月22日、葛西大博撮影

 野田佳彦首相への表立った批判を控えてきた民主党の小沢一郎元代表が、年末の消費増税議論に向け、政権批判を強め出した。消費増税を争点に衆院解散・総選挙が行われる事態に発展すれば、党内でもとりわけ選挙基盤が弱い新人衆院議員を多く抱える小沢グループは激減し、自身の求心力低下が決定的になるとの危機感が小沢元代表を突き動かしている。

 「いま、総選挙があったら、特攻状態だ。出撃したら何機戻ってこられるのか、帰ってこられなくなる」。22日昼、元代表は、国会内であった自身を支持する中堅・若手衆院議員グループ「一新会」の定例会合で強調した。元代表は定例会合にはほとんど出席しないが、この日は、「自分の考えを話しておきたい」と前置きして、消費増税反対論をぶち、危機感をあおった。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)問題では、慎重派に小沢グループの議員が多かったのに、グループとしての行動を控えたのとは対照的だ。

 野田首相は当面は解散を封印。消費税率の具体的な引き上げ幅や増税時期を盛り込んだ「税と社会保障の一体改革」の大綱を年内に策定し、自民、公明両党などとの与野党協議を経て、来年の通常国会に消費増税法案を提出する方針だ。

 元代表は22日の「一新会」の会合で「消費税率の引き上げ幅や増税時期を年内に決めるということは、理解を得られないだろう」と政府の動きをけん制した。元代表の側近は「小沢さんは、今のまま突き進んだら政権が持たず、早晩選挙になると思っている。それを止めないといけないという思いだ」と解説する。

 一方で、元代表がこの時期に政権批判を打ち出したのは27日投開票の大阪府知事選、大阪市長選のダブル選挙を見据えているとの見方もある。元代表は、以前から自らに近い地域政党の「減税日本」を率いる河村たかし名古屋市長を通じて大阪維新の会代表の橋下徹氏に秋波を送っており、14日には大村秀章・愛知県知事とも会談した。次期総選挙で消費増税が争点になった場合に備え、新党を含めた選択肢を模索している可能性がある。

 だが、元代表は資金管理団体「陸山会」を巡り政治資金規正法違反で強制起訴され、裁判を抱える。元代表と距離を置く衆院議員は「小沢さんは焦っている。グループの中でも離れ始めている人もいるから、急に発信し出した」と指摘した。【葛西大博】

毎日新聞 2011年11月23日 20時15分(最終更新 11月24日 1時38分)

 

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