|
|
きょうのコラム「時鐘」 2011年11月24日
解禁から半月、遅まきながらコウバコガニを食べた。別にもったいをつけていたわけではない
ポカポカ陽気が続いてもカニはおいしく食べられるのだろうが、寒くなってからのごちそうという思い込みが強くある。デパートの駅弁大会で有名商品を買い、家で食べるのも悪くはない。が、揺れる座席で車窓の景色をはし休めにして食べる方が、もっとおいしい。いつ食べる、どこで食べる、も調味料の一つだろう 朝晩冷え込むようになった。程なく雪が来て、雷鳴(らいめい)がとどろく「ブリ起こし」の時期となる。冬の雷にそんな別名を編(あ)み出して広めた先人が、つくづく偉いと思う。雷は厄介だが、美味の前触れと思えば心はいささか和らぐ そんな季節のめぐり合わせのはずなのに、まだ盛んにフクラギが捕れているという。豊漁続きはありがたいが、北陸の海はまだ秋の季節なのか。ひょっとして、陸とは別のカレンダーに従って、魚たちが暮らし始めたのか 冬の味覚の王者たちが、続々と出番を待っている。厳しい季節に耐える「褒美(ほうび)」として与えられる美味である。異常や異変は、ご免こうむりたい。 |