Ｇ20ピッツバーグサミットに思う。漂う米国の策略の影
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Ｇ２０、世界経済の不均衡是正へ政策協調で一致【ＲＥＵＴＥＲＳ】2009年 09月 26日 16:09 JST http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-11666820090926?sp=true ［ピッツバーグ ２５日 ロイター］ 米ピッツバーグで開催されていた２０カ国・地域（Ｇ２０）首脳会合（金融サミット）は２５日、持続力ある回復を確実にするまで景気刺激策を継続するとともに、世界経済の不均衡是正に向けて政策の協調・相互監視などに各国が取り組むことを表明した共同声明を採択した。 金融危機の再発防止に向け、「金融情勢の改善と景気回復」を前提に、銀行の自己資本比率規制の強化を２０１２年末までに段階実施することで一致した。新興市場国の経済的な影響力が増すなか、Ｇ２０は今後、国際的な経済協力を議論する中心的なフォーラムとして、定例開催することも決まった。 ＜金融・経済危機は大きく後退、出口戦略は時期尚早＞ 金融サミットに出席した首脳らは、金融サミット開催のきっかけになった世界的な金融・経済危機が、これまでの各国の協調や政策努力などにより、大きく後退した点を強調。議長を務めたオバマ米大統領は「われわれが実施した大胆で協調した行動によって数百万の雇用が救われ、創出された。われわれは、危機が発展途上国に波及するのを食い止めた」と成果を口にした。 世界経済に底打ち感こそ出始めたものの、先行きの持続的な回復に自信が持てないのも各国の共通認識だ。会議では、回復が確実なものになるまで景気刺激策を継続することが不可欠との見解を共有。これまで各国が景気刺激のために行ってきた「例外的な措置」からの出口戦略について「早過ぎる解除を避ける」（ブラウン英首相）、「世界の危機は終わっていない。いかなる国も景気対策をやめるべきではない」（ブラジルのルラ大統領）とし、出口戦略の議論こそ継続するものの、実行段階にはほど遠い状況にあることも鮮明となった。 ＜不均衡是正に政策を相互監視、鳩山首相「経済を内需振興に転換」＞ 世界経済の持続的な成長の実現に向けて、米国が提案していた世界経済に存在する不均衡の是正に取り組む方針でも一致。「財政・金融政策などを持続可能で均衡ある成長と整合的とする」ために協調するとし、具体的には「強固で持続可能かつ均衡ある成長のための枠組み」を立ち上げ、各国の政策を相互監視するプロセスを１１月までにスタートさせる。 中国など輸出大国の内需拡大、米国の財務削減や貯蓄率向上などが求められることになるが、オバマ米大統領は今回の合意形成を「持続成長のための大きなステップ」と評価。ブラウン英首相は「国際経済管理の新時代の幕開け」と表現した。 鳩山由紀夫首相は「今まで以上に消費を刺激する施策を大胆に行わなければならない。内需振興に思い切って政策を転換させていく」とし、鳩山政権が打ち出している「子ども手当」やガソリン税の暫定税率廃止などで内需拡大を図っていく考えをあらためて表明した。 ＜自己資本規制強化、景気回復前提に２０１２年末までに＞ 一方の重要テーマとなった金融監督・規制の強化については、声明において「危機以前に見られた過度なリスクテイクに戻ることは許されない」と強い決意を表明。デリバティブ（金融派生商品）や格付機関、ヘッジファンドに対する規制強化のほか、銀行に対して資本の増強や質の向上などを要請した。 このうち見直しが検討されている銀行の自己資本比率規制では、資本充実のための新たなルールを２０１０年末までに策定するとし、実施について「２０１２年末までを目標に、金融情勢が改善し景気回復が確実になった時点で段階的に行われることとなろう」とタイミングを明記した。 また、金融機関の報酬制限については「報酬政策・慣行の改革は、金融安定の増進のため必須」と位置づけ、１）複数年に渡るボーナス保証を避ける、２）報酬政策・体系に開示義務を課す――などを指摘した金融安定理事会（ＦＳＢ）の勧告を支持した。 ＜Ｇ２０サミットを定例化、新興国の影響力を反映＞ Ｇ２０首脳は同会合を国際的な経済協力を議論する中心的なフォーラムと位置づけることでも合意し、世界的な金融・経済危機への対応を目的に始まったＧ２０サミットが定例化される。今後は２０１０年６月にカナダ、同１１月に韓国で開き、２０１１年にはフランスで開催する。 新興市場国の存在感の高まりを反映したものだが、ブルッキングス研究所のシニアフェロー、コリン・ブラッドフォード氏は「国際政治上、重要な国・地域を加える象徴的な動きだ。国際経済協力、多国間決定プロセス、国際協調の新たな枠組みの構築だ」と評価した。 Ｇ20体制の定常化はＧ5.Ｇ7.Ｇ8サミットにおけるアジア唯一の代表の地位の喪失、世界第二位の経済大国の地位の陥落等日本の世界における相対的地位の低下を悲嘆することになるのであろうか？ 25日の日経平均は大幅に続落した。Ｇ20で鳩山が25％のＣＯ２の削減をぶち上げたことにもよるかもしれないが、９月末の権利落ちに加えて野村證券など大手金融機関の増資発表による株式需給悪化懸念、米国の中古住宅市場の予想以上の悪化などが、下落要因と考えられるが、Ｇ20サミットで取り上げられた自己資本規制強化の動きが下落要因かもしれない。金融機関の自己資本規制強化策やそれに連動する格付け会社の劣後債格下げへの動きは、金融機関に対して増資と貸し出し抑制、資産売却を一層求めるものであり、市場や経済に対する下押し圧力は大きい。 名門リーマンブラザースを破綻させた今回の金融危機の再発を防ぐ為、金融監督・規制の強化、デリバティブ（金融派生商品）や格付機関、ヘッジファンドに対する規制強化、銀行の自己資本規制の強化は正論ではあるが。自己資本の規制により貸し渋りは酷くなり、何のための規制強化なのか本末転倒となることは、十分予想されることである。 バーゼル２を再検討し、新たなルールを２０１０年末までに策定、２０１２年実施目標と、期限を設けられてしまったが、金融情勢が改善し景気回復が確実になった時点で段階的に行うことを明記したのは救いである。 しかしながら、自己資本規制強化の動きの流れは、世界経済にとって大きな足枷となるであろう。世界中が日本の経済的地位の没落を日本固有の問題と思って見ているようだが、日本経済の凋落のきっかけとなったのは、国際決済銀行の自己資本基準8％の決定であった。１９８０年代日本経済が多少のバブルとはいえ機能的に機能していたことは間違いない。日本経済の死角は銀行の自己資本の比率が日本特有の株式の持ち合い制度等で米国や欧州の自己資本比率に比べ著しく低かったのである。 そこで、日本経済の成長が、ソ連の軍事力以上に米国の覇権に危機であると判断した米国は、世界経済を健全にするという名目で、ＢＩＳ基準の強化を言い出したのである。名目は1980年代に金融自由化を進めた米国で、1984年に大手銀行であったコンチネンタル・イリノイ銀行が破綻し、この影響が国際的な銀行間取引を通じて海外にも波及しそうになったことの反省から生まれたものではあるが、日本経済を直撃し、不動産バブルの崩壊をもたらし、日本経済を根本的に破壊し尽くしたのである。 新ＢＩＳ規制が実施されているが、さらに規制を強化すれば、世界的に資金が滞る可能性が高いと私は懸念するものです。日本がが辿った道は他のＧ7の国々も、新興国の国々もこれから体験するのではないか、そう思うのは私ばかりではないと思います。 特に中国は建国６０周年を過ぎたあたりから、無理に無理を重ねた歪が糊塗することができなくなるであろう。第一昨年からの中国の内需刺激策は尋常ではない将来経済に取り返しのつかない時限爆弾になったのではないか？中国の銀行融資の急増は2009年１〜６月に７兆3700億元（約101兆円）と、すでに2008年の通年実績の1.5倍はどう見ても異常だ。ほとんど無審査で金を潰れそうな企業へ融資したとしか思えない。 「銀行融資の総量規制、再開せず」 中国人民銀副総裁 【ＮＩＫＫＥＩ】 http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT2M0703A%2007082009&g=G1&d=20090807 【北京＝高橋哲史】中国人民銀行（中央銀行）の蘇寧副総裁は７日の記者会見で、銀行融資の急増を背景に資産バブルの懸念が出ていることへの対応策について「銀行の融資規模をコントロールする手法は取らない」と言明した。昨年秋まで実施していた銀行融資の総量規制を再開する考えがないことを強調した。 中国の銀行融資の増加額は今年１〜６月に７兆3700億元（約101兆円）と、すでに2008年の通年実績の1.5倍に達している。余ったカネは不動産や株式市場に流れ込んでおり、金融市場では「人民銀がバブル退治のため、昨年11月から停止している銀行融資の総量規制を再開するのではないか」との憶測がくすぶっていた。日系企業の間にも人民元の調達に影響が出ることに懸念が広がっていた。 また、人民銀は５日発表した四半期に１度の金融政策執行報告で、金融政策の先行きについて「市場化された手段を用いて機動的に微調整する」と指摘した。市場関係者は金融引き締めへの転換を示唆した表現と受け止め、株価の下落につながった。 (01:21) それでも、沿岸部の広東省は倒産企業が相次ぎ、無理に無理を重ねる中国経済の歪みは、やがてカタストロフィーを迎えるとバブル崩壊を経験した日本人であるならば誰しも思うであろう。今後金融機関自身の行動にも自制が求められることは言うまでもないが、今後過度な規制の行き過ぎが再度の経済危機を招く可能性を軽視すべきではないだろう。 また、世界経済の持続的な成長の実現に向けて、米国が提案していた世界経済に存在する不均衡の是正に取り組む方針各国の政策を相互監視するプロセスを１１月までにスタートさせると言っている。これは、日本がアメリカに嵌められた。悪名高き「年次改革要望書」を全世界相手に行おうとアメリカは画策していると見ていいだろう。 「年次改革要望書」はじつに巧妙に日本社会を破壊していった。米国は１９９０年代対日経済戦争に勝利した同じノウハウを対世界経済に対して行おうとしているのではないか？ 中国など輸出大国の内需拡大とは、人民元の切り上げ圧力の再開である。米国の財務削減や貯蓄率向上では、すでに貯蓄率が過去最高の増加率を記録するなど、米国は抜け目がない。オバマ米大統領は今回の合意形成を「持続成長のための大きなステップ」、ブラウン英首相は「国際経済管理の新時代の幕開け」これはアングロサクソンが、生き残る為の巧妙な経済的策略に見えてならない。 ＢＲＩＣｓ諸国新興国経済を持ち上げるだけ持ち上げ一気にクラッシュ、また立ち直りかけたところでクラッシュ、どこかで見た経済の流れである。バブル崩壊を経験した日本人であるならば誰しも今後の世界経済の行く末はなんとなくわかる。 世界中が日本の経済的地位の没落を日本固有の問題と思って見ているようだが、日本経済が辿った道は他のＧ7の国々も、新興国の国々もこれから体験する、日本は悪い意味での最先進国なのかもしれないと思っています。
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