
G20ピッツバーグ・サミット(概要)
平成21年9月25日
1.日程、参加国等
(1)日程、場所
2009年9月24日(木曜日)、25日(金曜日)(於:米国ピッツバーグ)
(2)参加国・国際機関
G8(日、米、英、独、仏、伊、加、露、EC)、メキシコ、中国、インド、ブラジル、南アフリカ、韓国、豪、インドネシア、サウジアラビア、トルコ、アルゼンチン、スウェーデン(EU議長国)、スペイン、オランダ、タイ(ASEAN議長国)、エチオピア(NEPAD運営委員会議長国)、シンガポール(APEC議長国、ただし財務大臣のみ)、国際連合、国際通貨基金(IMF)、世界銀行、経済協力開発機構(OECD)、世界貿易機関(WTO)、国際労働機関(ILO)、金融安定理事会(FSB)、アフリカ連合(AU)、ASEAN事務局
2.主要な成果
議論を踏まえ首脳声明に合意(骨子別添)。主要な成果は以下のとおり。
(1)世界経済
- 世界経済に回復の兆しは見られるとの認識が示される一方、回復のプロセスは途上であり、民間需要回復のための条件はまだ整っていないとの認識が共有された。「出口戦略」の実施は時期尚早との意見が強く、雇用問題についても多数から懸念が表明された。
鳩山総理からも、危機は終わっておらず「出口戦略」を作成するタイミングではないとの認識を示し、景気刺激策、国際的な政策協調の重要性を主張。こうした議論を踏まえ、景気回復が確実になるまでの間は、経済活動を支援するための刺激策の実施を継続することを確認。
さらに、鳩山総理からは、自由や平等の行き過ぎを抑えるため「友愛(fraternity)」が重要である旨述べた。
- また、世界経済のより均衡ある成長パターンへの移行のための政策協調が重要であるとの共通認識のもと、政策やその成長と持続可能性への影響の相互評価を含む「強固で持続可能かつ均衡ある成長のための枠組み」を採択。IMF・世銀に支援・助言を要請。財務大臣・中銀総裁は、11月の会合でこの枠組み実行のためのプロセスを議論。次回首脳会合は本枠組みに基づく相互評価の結果をレビュー。
(2)雇用
- 多くの首脳が雇用について深刻な懸念を表明。鳩山総理からは、「雇用なき回復」とならないための施策の重要性を強調。首脳は、質の高い雇用の創出を経済回復の主目的とすべく、ILOによる「危機からの回復:世界労働協定」の主要要素を自国に適用すること等に合意。また、米は2010年の早い時期にG20雇用大臣会合を開催。
(3)金融規制改革
- 金融規制改革のために、これまでのG20サミットで合意された内容が着実に実施されていることを評価。
- 複数の首脳が、危機再発防止や安定的で信頼できる金融サービス確保等の観点から、最近の金融機関における高額報酬の復活に懸念を表明。その結果、首脳は、金融機関の報酬慣行の改革に関するFSBの勧告を支持し、各国当局が是正措置をとる責務を負うことを確認。鳩山総理からは、金融機関に家計・企業への安定的な資金供給という本来の役割を果たさせることの重要性を強調。
- 銀行資本の質と量の改善及び景気循環増幅効果の抑制の重要性を確認。銀行資本の質と量の改善の実施については、我が国の主張もあり、2012年末までを目標としつつも、金融情勢が改善し景気回復が確実になった時点で、段階的に行われることとなった。その他、店頭デリバティブ市場の改善、国境を超えた破綻処理を含むシステム上重要な金融機関の問題への対処等、金融規制改革についても財務大臣・中銀総裁に対し取組の継続を指示。
(4)国際金融機関改革
- IMF改革については、新興国を中心に、新興国・途上国により多くのクォータ・シェア(出資割当額比率)の配分を求める強い意見。これに対して、鳩山総理より、IMFがその役割を果たす上で世界経済の実態を反映した機関であることの重要性を強調しつつ、クォータ・シェア移転については、先進国の中で経済実態が十分に反映されていない国にも考慮するよう主張。その結果、過大代表国から過小代表国への少なくとも5%のダイナミックな新興国・途上国へのクォータ・シェアの移転等に合意。
- 世銀について、途上国、体制移行国の投票権に少なくとも3%の意義ある増加をもたらす計算式を用いること等に合意。
(5)気候変動
- 気候変動問題に関し、コペンハーゲンでの合意を目指し努力することを確認。特に、気候変動のファイナンスについては、財務大臣の作業を歓迎し、その選択肢を次回会合で報告するよう指示。
(6)貿易・投資
- 保護主義との闘いに結束することを確認。ドーハ・ラウンドの2010年における野心的かつバランスのとれた妥結の追求を決意。各国首脳はドーハ・ラウンドの妥結に向けた取組に引き続き関与し、次回G20サミットで交渉の進展をレビュー。
(7)最も脆弱な人々への支援の強化
- 国連ミレニアム開発目標(MDGs)達成、貧困層の食料・燃料・資金へのアクセス改善のための協力等を確認。
3.今後のG20サミット(役割と開催予定)
首脳は、G20をその国際経済協力の第一のフォーラム(premier forum)とすることで合意。今後G20サミットは定例化。2010年6月はカナダが、同年11月は韓国が、翌2011年は仏が、G20サミットを開催する予定。
(注)カナダは2010年の、仏は2011年のG8議長国。