「北大西洋条約機構(NATO)がゲーム産業に協力していくことで、我々の軍隊をより早く、より安価に整備することができる。ひいては生命と時間とお金を守ることに貢献できる」。今月、韓国・大邱(テグ)で開催された韓国ゲーム会議(KGC)の「シリアスゲーム」の関連セッションで、NATOのデュアン・J・ルイツ氏はこう言い切った。
ルイツ氏が所属しているのはNATOリサーチ&テクノロジー組織(RTO)のモデリング&シミュレーション調整本部。28カ国の加盟国と、38カ国のパートナー諸国によって形成される防衛と作戦分野についての調査と、各国間の軍事技術の標準化を行うための研究組織だ。3000人以上の科学者と技術者で構成される同本部では、ゲーム技術は極めて重要な意味を持っている。
軍事技術とゲームは切っても切れない関係性を昔から持っている。コンピューター自体の発展も軍事技術と深くからんでいる。特に1990年代には、バーチャルリアリティー(仮想現実)の技術は、米国中心に軍事利用目的に発達してきたという経緯がある。
しかし、ルイツ氏は「今は一般消費者向けに作られているゲームが、軍事用のモデリングとシミュレーション市場に破壊的な変化をもたらしている最中だ」という。軍の独自技術が主導する時代から、民間技術が主導する時代へと変化しつつあることを指摘した。
■2000年代に入り軍事で注目され始めたゲーム
ルイツ氏は、これまで軍が利用していたシミュレーションソフトは「内容的にはあまり価値がないのに価格が高く、それぞれのアプリケーションでカスタム化する必要性があった」という。それが、「低価格で民生市場から調達でき、内容も高度。他の製品と組み合わせて自在に使うことができる」と変わりつつあるという。
特に、ゲーム産業のシミュレーション開発の爆発的な進化は、「パソコンが汎用大型機(メーンフレームコンピューター)に取って代わり、GPS(全地球測位システム)が海図や地図に代わり、インターネットが伝統的な通信手段に代わったのと似たような効果を生み出す」(ルイツ氏)と予測する。
一般ユーザーが遊ぶゲームは、2000年代に入り、ハードウエアの性能向上に伴ってソフトの質の急速に高まるにつれ、軍事関係者から注目を集めるようになってきていた。
02年には技術ジャーナリストのJ・C・ハーツと、米軍のシミュレーションや訓練の技術責任者のマイケル・R・マセドニアにより、米DefenceHorizons誌に「コンピュータゲームと軍事:二つの視点(Computer Games and the Military: Two Views)」という記事が掲載されており、冒頭のルイツ氏と同じ指摘を行っている。
NATO、ゲーム
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