古川さん:ドクターの宇宙実験終了「医学発展に生かす」

2011年11月23日 1時48分 更新:11月23日 1時55分

野口聡一さん(左)らに支えられながら笑顔を見せる古川聡さん(中央)=カザフスタン中部で2011年11月22日、ロイター
野口聡一さん(左)らに支えられながら笑顔を見せる古川聡さん(中央)=カザフスタン中部で2011年11月22日、ロイター

 【アスタナ(カザフスタン)比嘉洋】22日、国際宇宙ステーション(ISS)からソユーズ宇宙船で帰還した古川聡飛行士(47)は同日午後、着陸地に近いクスタナイ空港での歓迎式典に参加した後、自宅がある米国に専用機で向かった。日本人としてはもっとも長い167日間の滞在を終えた古川さん。地上の重力に体を慣らすため、ヒューストンで1カ月半にわたるリハビリに入る。

 古川さんは、ISSに長期滞在した日本人飛行士の中では唯一の医師。その知識と経験を生かし、宇宙生活が人体に与える影響を自らの体を使って調べる「宇宙医学」の実験に熱心に取り組んだ。

 たとえば長期滞在の飛行士は、一般人の年間被ばく許容限度(1ミリシーベルト)近い宇宙放射線を1日で浴びる。古川さんは滞在中の被ばくを小型線量計で記録した。今後分析し、宇宙滞在が一般化する将来の被ばく防護対策に役立てる。

 また自ら脳波や心拍数などを測定し、モニター画面越しに地上の医師の診察を受ける実験もした。このシステムが確立されれば、宇宙にいながら健康を自分で管理し、カルテを共有する地上の医師の「遠隔診断」を受けることも可能になる。

 古川さんは実験の際に気づいた診断方法の改善点をアドバイスした。このシステムを計画する宇宙航空研究開発機構の長谷川義幸理事は22日、「古川さんはドクターとエンジニアの両方(の役割)をやってくれた」と評価した。

 古川さんは長期滞在中、毎日新聞臨時ISS宇宙支局長として、科学面でコラム「Dr.古川の宇宙支局便り」を連載。宇宙での心身の変化などについて医師の視点から発信した。最終回では「(宇宙へ行く夢がかなった今後は)経験を生かして宇宙医学研究の発展に貢献したい」とつづっている。

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