アメリカ議会で財政赤字を削減するための与野党間の交渉が決裂したことに対して、大手格付け会社がどのような判断を示すかに市場の注目が集まるなか、「スタンダード・アンド・プアーズ」と「ムーディーズ」は、アメリカ国債の今の格付けの水準を維持すると発表しました。
アメリカ議会の超党派でつくる「財政赤字削減委員会」は21日、財政赤字を削減するための与野党間の交渉が決裂したと発表しました。これを受けて大手格付け会社の「スタンダード・アンド・プアーズ」は、与野党の交渉が決裂しても2013年から国防費などの予算を一律にカットするという取り決めは有効なため、アメリカ国債の格付けには直ちに影響しないと発表しました。この一方で、こうした歳出削減の取り決めが緩和された場合には、格付けを引き下げる圧力は強まるだろうとしています。また、「ムーディーズ」も、交渉の決裂だけではアメリカ国債の格付けの変更につながらないと発表しました。アメリカ国債を巡っては「スタンダード・アンド・プアーズ」がことし8月、史上初めて格下げに踏み切り、これをきっかけに金融市場に混乱が広がりましたが、格付けは変更しないとした今回の大手格付け会社の判断に対し、市場がどのように反応するのか注目されます。