政府の行政刷新会議による「政策仕分け」は、22日から社会保障制度についての議論に入り、来年度改定される診療報酬のうち、医師の人件費などに当たる本体部分について、仕分け人から、据え置きや引き下げを訴える意見が相次ぎ、来月の改定率の決定を前に、厚生労働省にも、これを重く受け止めて対応するよう求める提言をまとめました。
3日目を迎えた行政刷新会議の「政策仕分け」は、22日から社会保障制度の検証作業に入り、医療機関に支払われる診療報酬などを巡って議論しました。診療報酬は2年ごとに見直されますが、来年度は、介護報酬と合わせた同時の改定となります。厚生労働省は「前回の改定で診療報酬を引き上げたことで、多くの医療機関から効果があったという声が出ているが、まだ改善は必要だ」と説明しました。これに対して財務省は、診療報酬を1%引き上げると医療費がおよそ3600億円増加すると指摘したうえで、「デフレや、民間企業の賃金の状況を踏まえれば、医師の人件費などに当たる診療報酬の本体部分の引き上げは国民の理解を得られない」と主張しました。また、仕分け人からも「この10年間で、国民の所得は10%近く下がっている一方、医師全体の収入は増えている。診療報酬が増え続けるのは問題だ」などという意見が出されました。そして、診療報酬のうち、医師の人件費などに当たる本体部分について、9人の仕分け人のうち6人が「据え置くべき」としたほか、「引き下げるべき」が3人で、「引き上げるべき」という意見は出されず、来月の改定率の決定を前に、厚生労働省にも、これを重く受け止めて対応するよう求める提言をまとめました。さらに、病院へ診療報酬を配分する際には、勤務医の処遇を改善することを条件にすべきだという提言も取りまとめました。また、価格の安い「後発医薬品」について、仕分け人からは「利用率が目標に届いておらず、患者に理解を求める取り組みが足りない」とか、「医療費の抑制を目指すなか、効果も安全性も同じなら、価格が安いものを使うのが当然だ」などという意見が出されました。そして、先発医薬品の価格を後発医薬品の価格に近づけるよう、大幅に引き下げるとともに、差額の一部を自己負担とすることを検討すべきだとする提言をまとめました。また、医師や薬剤師から、先発医薬品と後発医薬品のリストを患者に提示する義務を課すことができないか、検討すべきだという提言も、併せて取りまとめました。