携帯電話事業参入から5年。キラー端末である米アップルの「iPhone」と、格安な通話メニュー「ホワイトプラン」で常に加入者獲得でトップを走ってきたソフトバンクに転機が訪れている。今年10月、ライバルのKDDIが「iPhone 4S」の販売に参入し、ホワイトプランもようやく他社に追随されはじめた。一方で、震災後のエネルギー政策の混乱を目の当たりにして、電力事業への進出を表明するなど、話題の提供にも事欠かない。
孫正義社長率いるソフトバンクはこれからどんな針路を取るのか。日経ビジネスは11月21日号で特集「ソフトバンク〜孫正義、試される突破力」を組み、次の一手を探った。
この企画と連動し、今日から3回にわたり、2時間近くにわたる孫社長へのインタビューの詳細をお伝えする。
いま最も注目を集める経営者の視線の先にあるものは?
(聞き手は山川龍雄・日経ビジネス編集長)
―― ソフトバンクが独占販売していた米アップル社の「iPhone」の販売権をライバルであるKDDIが獲得しました。ソフトバンクユーザーの解約が心配ではなかったですか。
孫:直前に販売店でのアンケートなどいろいろな調査を見て、お、これはやばいぞという気持ちにはなりました。でも想定ほどではなく、新規契約も機種変更も進んでいます。今は品切れ状態で困っているぐらいですからね。
―― 孫さんが想定された以上にソフトバンク利用者のロイヤルティーが高かった。この現象をどう分析なさっていますか。
孫:実際に今iPhone4Sを使っておられるユーザーの圧倒的大半は、ソフトバンク内での機種変更だったということは僕にとって一番うれしかったことです。ただ、ご自宅で圏外だと、やっぱり怒りが爆発するレベルになると思うんですね。我々も自宅の圏外率というのは、何としても一日でも早く他社さんに追いつかなきゃいけないということで、相当、住宅地における圏外率を下げるような、地道な努力をしてきました。
もし我々が2年前の状態のままなら、自宅の圏外率はまだ結構高かったですから、解約されるユーザーはもっと多かったと思います。つながりが悪いという噂はあったとしても、実際に使っているユーザーは自分が一番よく知っているわけですから、他社に乗り換えるほど不満を感じているかどうかでいえば、それなりに地道な努力が功を奏したのではないでしょうか。
また、家族で2回線、3回線契約をしているお客さんは家族ぐるみでソフトバンクに愛着を持ってくださっている。せっかく新しいのが出たなら、ソフトバンクでそのまま継続してと思っていただけたのが嬉しかったですね。