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黒い雨:長崎市の広範囲に 「爆心地から10キロ」証言も--放影研資料

 長崎原爆の投下直後に降った放射性物質を含む「黒い雨」が、これまで知られていた長崎市の西山地区(爆心地の東約3キロ)だけでなく、市中心部を含む広範囲で降った可能性があることが、長崎県保険医協会が入手した放射線影響研究所(放影研、広島市・長崎市)の資料で分かった。協会が、長崎で「雨に遭った」とする約800人の回答を分析した。これまであいまいだった黒い雨の実態解明につながることが期待される。

 資料は、放影研の前身である原爆傷害調査委員会(ABCC)が、1950年ごろから約12万人を対象に実施した「寿命調査」に設けた質問への回答。「Was person caught in Fallout Rain?」(放射性物質を含む雨に遭遇したか)の問いがあり「はい」の回答には「Where?(どこで)」と尋ねている。「遭遇した」とする約1万3000人のうち、約800人が長崎分で、協会は「どこで」の回答を基に、遭遇した地点を分類した。

 長崎市が編さんした長崎原爆戦災誌第1巻(1977年刊)にも西山地区のほかに、爆心地に近い長崎医大付属病院(当時)付近や市街地などでの降雨を語る手記や証言があると記されている。ただ、こうした証言は散在しており、まとまった資料はなかった。

 データには、爆心地から約10キロ南の香焼島(現・長崎市香焼町)や約8キロ西の式見村(同・同市式見町)で雨に遭ったという回答もあった。「長崎の証言の会」代表委員の広瀬方人さん(81)は「これまで証言がなかった場所でも、被爆直後の混乱で気付かなかったことも考えられる」と話している。【釣田祐喜】

毎日新聞 2011年11月21日 東京夕刊

 
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